楽天は2月21日、中国の京東集団と戦略的提携を行い、京東のドローンと地上配送ロボット(Unmanned Ground Vehicle:「UGV」)を導入すると発表した。
京東は、2015年よりドローン開発に着手し、2016年に江蘇省、陝西省およびその他の省の中国農村部で世界初の商用ドローン配送を開始。これまでに40万分以上の配達飛行をしているという。また、2017年に発表した宅配用のUGVは、複数の大学構内に導入され、現在一部の都市でも運行している。
楽天はこれまで、自律制御システム研究所(ACSL)が開発した機体をベースにしたドローン「天空」を利用してきた。京東のドローンは、サイズが幅160cm×高さ60cm、 最大積載量が5kg、最長飛行距離が16km、最大飛行時間40分で、天空の最大積載量2kgで、飛行距離4~5Kmに比べ積載量が多く、飛行距離も長い。今後は両者を用途に応じて使い分けていくという。
楽天では、京東のドローンの採用により、産業用ドローンとして、本格的な物流ニーズにこたえることが可能になるとしており、用途としては、離島、山間地域を想定している。
楽天 ドローン・UGV事業部 ジェネラルマネージャー 向井秀明氏は、京東と提携するメリットとして、中国国内で多数の実績を持つ点と豊富な運用経験を持つ専門人材の存在を挙げた。
楽天 常務執行役員 安藤公二氏は、「無人配送ソリューションを提供することで、産業革命を起こしていく」と語った。
なお、楽天は記者発表のなかで、年内も配送料を徴収した上でのドローンの定期運行を、地域・期間限定で行うことを発表した。
一方の宅配用のUGVは、サイズが、縦171.5×横75×高さ160Ccmで最大積載量は50kgで、最大走行速度は15km。
ただ、法規制の関係で公道は走れないため、当面は私有地などの特定エリアで実績を積み、法規制を緩和してもらいながら、将来は宅配を行いたいという。
京東の副総裁で「X事業部」総裁である、肖軍(ショウジュン)氏は、「われわれは2018年1月に初めて楽天と連絡を取った。そして多くのプロジェクトを通してお互いを理解し、今回、正式に戦略的提携を結んだ。両者は同じ志を持っており、(今回の提携は)両者にとってかけがえのないチャンスとなる。両者が結びつくことでイノベーションを起こし、物流・リテール分野での、ブレークスルーを実現したい」と語った。