米Amazonは2月14日 (現地時間)、ニューヨーク市のクイーンズ地区ロングアイランドシティに第2ヘッドクォーターを建設する計画を断念したことを発表した。地元住民の中に強い反対の声があり、市や州の議員、行政機関から影響を懸念する声が挙がっていた。

米西海岸ワシントン州シアトルに本社を置くAmazonは、2018年9月に第2ヘッドクォーターの建設計画を発表、候補地を公募した。同年11月に、ニューヨーク市のロングアイランドシティと、ワシントンDCに近いバージニア州アーリントンの2カ所に決定したと発表した。

ロングアイランドシティでは2万5,000人以上の雇用を創出する見通しで、Amazonは実績ベースで最大15億2,500万ドルの税制優遇や補助金を受けられる条件となっていた。しかしながら、Amazonが求める人材を考慮するとロングアイランドシティの住民の雇用は限られるという声が地元から上がった。Amazonの条件を満たす高収入の新たな労働者が流入した場合、地域の生活コストが上昇し、長く住んできた住民が転居を迫られる可能性がある。

Amazonによると、ニューヨーク市民の7割がAmazonの計画を支持している。それでも現状では同社が思い描くプロジェクトを進めるのは困難と判断した。第2ヘッドクォーターの建設候補地の公募では、大きく、創造的に考えるAmazonの活動を実行していくための自治体や地域コミュニティの協力、理解を条件としていた。

ロングアイランドシティの第2ヘッドクォーター計画は撤回するが、Amazonはすでにマンハッタン、ブルックリン、スタテンアイランドなどで5,000人以上を雇用しており、これからもニューヨークへの投資を継続していくとしている。