米IBMは2月12日、IBM Watsonサービスと「IBM Cloud Private for Data」(ICP for Data)との統合により、Watsonと「Watson OpenScale」を多様なクラウド環境で実行可能にしたと発表した。これによりユーザー企業は、ベンダー・ロックインを解消し、データのある場所でAI(人工知能)を活用可能になるという。

新たに発表したICP for Data用の一連のWatsonマイクロサービスは、オープン・ソース・テクノロジーをベースにしており、ハイブリッド・マルチクラウド環境全体で容易に拡張できるという。

オープン・ソースのKubernetesコンテナ・オーケストレーション・テクノロジーをベースにしたこれらの新サービスは、IBM Cloudや他のパブリック・クラウドに加え、ハイブリッド・クラウドやマルチクラウド環境でも実行できるとしている。

これらは、ソフトウェア・ソリューションである「Watson OpenScale」及び「Watson Assistant」をベースにしている。

Watson OpenScaleは、多数のAIインスタンスを、開発した場所に関わらず管理できるというオープンなAIプラットフォーム。

AIの決定をどのように導いたかをリアルタイムで説明する機能を備えているため、透明性やコンプライアンスを高められるという。

Watson Assistantは、アプリケーションとデバイスに会話型インターフェースを組み込むためのAIツール。

従来のチャットボットより高機能といい、結果を検索するか、ユーザーに説明を求めるか、ユーザーを人間の担当者による個人対応に切り替えるかをインテリジェントに判断するという。

さらに、同ツールの「Discovery Extension」は、企業の非構造化データやドキュメントに潜むインサイトを見つけ出すことができるとしている。

同社は2019年内に、「Watson Knowledge Studio」や「Watson Natural Language Understanding」などのWatsonサービスをICP for Dataに追加していく予定だ。

また同社は併せて、「IBM Watson Machine Learning」の新しいアクセラレーターである「Watson Machine Learning Accelerator」による拡張を発表した。

このアクセラレーターは、Power Systems及びx86システム上に高性能のGPUクラスタリングを実現するという。

IBM POWER9のGPUメモリー帯域幅と組み合わせることで、このソリューションは競合他社のソリューションよりも最大10倍速い機械学習トレーニングを提供できるとしている。

さらに同社は、ソフトウェア機能である「IBM Business Automation Intelligence with Watson」を近日提供予定と発表した。

ビジネス・リーダーはAIをアプリケーションに適用し、事務員からナレッジ・ワーカーまでのヒューマン・ワークフォースとデジタル・ワークフォースを強化して、簡単な業務から複雑な業務までインテリジェントに自動化しながら、AIが業務の成果に与える影響のレベルを測定できるようになるとのことだ。

同ソフトウェア機能は、2019年内の提供を見込んでいる。