富士通は2月13日、個人の健康医療情報(Personal Health Record:PHR)の情報を安心かつ安全に保管ならびに活用することを可能とする、健康医療情報を起点とした個人向けサービスの統合管理基盤PaaS「FUJITSU ヘルスケアソリューション Healthcare Personal service Platform」のサービス提供を開始したことを発表した。
同プラットフォームは、個々人が主体となって、クラウド上に保存された各種の医療データや健康データを、そうした情報の活用を目指す企業や地方公共団体などに必要に応じて選別して提供することで、当事者がそのサービスなどの恩恵を受けることをしやすくするもの。サービスを受ける個人を中心に、健康医療情報を保有する医療機関、それらの情報を活用して個人向けサービスを提供するサービス事業者の三者が、連携することで、富士通が提供するセキュリティなどが担保されたプラットフォーム上で、適切な情報管理などを行った上て、サービス事業者が、情報提供の個人に向けて、さまざまな健康の促進につながるようなサービスの提供を行っていくことが想定されている。
同社では、この仕組みを実現するうえでは、「信頼していない人や事業者に情報を見られる不安」、「インターネット上に機微な情報を預けることへの不安」、「電子カルテなど業務システムとの情報連携のコスト」といった3つの課題が存在しているとし、同プラットフォームでは、それらを解決できる形で枠組みを構築。各省庁が出しているガイドラインに沿ったセキュアなデータ管理を実現したほか、電子カルテの連携についても、富士通が提供するシステムとの連携は元より、サービス開発事業者向けに開発環境を提供することで、開発コストの低減を図るとしている。また、国際標準規格であるID-WSFを活用する形で、APIとして提供することで、データの取得をしやすくするなど、サービス事業者にとっても、アプリケーション開発の負担を軽減する取り組みが盛り込まれたものとなっている。
すでに15件ほどの案件で先行する形で活用されているという。例えばサンスターのIoTスマート歯ブラシと、予防型歯科医院が連携することで、個人が歯の状況をスマートフォンで確認できるようになるほか、歯科医との情報共有もでき、健康な歯を維持するための指導などに結びつける取り組みが進められているという。また、複数の自治体にて、災害対策や健康管理といった目的を主に、健康医療情報管理サービスとして活用されているという。
富士通では、ヘルスケア領域として、電子カルテシステムを全国の約4000の施設に、地域医療ネットワークを8000施設に導入するなど、先行してさまざまな医療関連システムなどの提供を行ってきており、同プラットフォームとこれらを組み合わせていくことで、健康医療情報のさらなる利活用を促進させたいとしている。
また、ヘルスケア以外の行政や流通といった分野でもシステムを手掛けてきており、そうした異なる分野同士を結びつけるクロスインダストリを進めることで、より豊かで健康な生活を支えていくことを使命に、地方公共団体などと協力して、取り組んでいくとしている。
なお、同プラットフォームは、初期費用が300万円から、月額は従量課金制で10万円から(いずれも税別)とおり、2022年度末までに120団体への販売を目指すとしている。