「中期経営計画2020」(住友商事公式<a href="https://www.sumitomocorp.com/jp/-/media/Files/hq/ir/report/summary/2017/Final2020.pdf?la=ja" target="_blank">Webサイト</a>より)

「中期経営計画2020」(住友商事公式Webサイトより)

住友商事は、同社の調剤薬局事業の基盤拡大の布石として2月から調剤併設型ドラッグストア「トモズ」松戸新田店において、調剤オペレーション自動化の実証実験を開始することを発表した。

2019年度に創立100周年を迎える住友商事は、同社の「中期経営計画2020」において6つのマテリアリティ(重要課題)を掲げている。

「地球環境との共生」
「地域と産業の発展への貢献」
「快適で心躍る暮らしの基盤づくり」
「多様なアクセスの構築」
「人材育成とダイバシティの推進」
「ガバナンスの充実」

これらマテリアリティを個々の意思決定プロセス、事業戦略策定の際の重要な要素とすることで持続的成長を促進していくものだ。今回、同社が発表した実証実験は、"地域と産業の発展への貢献"と"快適で心躍る暮らしの基盤づくり"に位置する。調剤併設型ドラッグストア「トモズ」は、住友商事が約25年間にわたり展開、現在では首都圏を中心に172店舗に及ぶ(2018年12月末現在)。2017年6月には、訪問看護ステーション向け業務支援システムアプリ「iBow」を運営するeWeLLへの出資も行っており、同社が成長戦略のひとつに掲げるヘルスケア分野にも関連する調剤業務の効率化となる。

調剤併設型ドラッグストア<a href="http://www.tomods.jp/" target="_blank">「トモズ」</a>

調剤併設型ドラッグストア「トモズ」

実証実験では、シロップ、粉薬、軟膏など薬に合わせた各種調剤機器、複数の薬剤を一包ずつパックする"一包化"と呼ばれる工程への機器を導入することで調製、収集業務の約9割の自動化・半自動化を目指すもので薬剤師の監督のもとに行われる。大規模な自動化を図ることで、薬剤師がより付加価値の高い患者との対面業務に注力できるようになるほか、地域薬局からの依頼で一包化薬剤を薬局や介護施設へ配送する"分包センター"など、欧米の新たな事業モデルの日本での知見集積にも言及している。

同社は、実証実験の背景として、2025年度には61兆円にも拡大するともいわれる国民医療費の大幅な拡大。政府が掲げる持続可能な社会保障制度を確立のための地域包括ケアシステム推進、薬剤師を含む医療従事者不足や個人薬局などにおける後継者問題など切迫する状況を述べている。