遠隔にいるメンバーと臨場感ある会議も可能なビデオ会議システム。テレワークなど働き方改革の推進もあり、目にする機会も多くなったがビデオ会議システムを利用する周囲の座席では、スピーカーからの音がノイズとして届いてしまうなど課題となっているという。NECネッツエスアイ、ヤマハ、イナバインターナショナルの3社は、オープンなオフィス空間におけるビデオ会議の音対策の共同検証を行い、その検証結果を12日発表した。
NECネッツエスアイは自らが月約4500回実施するという社内外のミーティングにビデオ会議サービス「共創ワークソリューション Zoom」を活用、マルチデバイスに対応した場所を選ばない高性能ビデオ会議室で文字やメールでは伝わらないビビッドな情報のやりとりや意思決定を行っている。しかし、会議システム利用者はまわりの声が気になる一方、周囲座席では会議システムのスピーカーから発する音をうるさく感じることが課題になっていたことが明らかになった。
たしかにオープン性を強調するあまり、音をおざなりに考えるケースも見聞きする。労働安全衛生規則には作業環境のレベルに応じた対策など騒音(85dB以上)に対する規定も記してあるが、騒音とまではいかずとも、ノイズや情報が周囲にダダ漏れな状況は改善したほうがいい。音響機器を手掛けるヤマハとオフィス什器を手掛けるイナバとNECネッツエスアイは、オフィスフロアに可動/固定の2つのビデオ会議システムミーティング環境を設け、ヤマハ製マイクスピーカーYVC-200(1-4名程度の打ち合わせ向け)、CS-700AV(4-6の小さな会議室向け)を音源として設置。イナバの吸音性能を高めたパーティションYURT(ユルト)の有無、上部傾斜パネルの有無など複数環境で音圧レベル差を測定している。
測定結果は、パーティションの有無で周囲へと漏れ出る音における周波数500Hzから1KHzの可動タイプで最大5dB軽減、固定タイプで最大7dBの軽減。興味深いのが、パーティション上部のYURT独自傾斜パネルの有無で最大約10dB(固定タイプ)の軽減が認められている。周囲からビデオ会議システムへの流入も最大約5dBの軽減が、可動/固定タイプで認められている。音の周波数やパーティションのタイプ、入る音と出る音とパラメーターにより違いが大きく出るが、ちょっとした工夫でも数dBから10dBの軽減が認められている。
3社は、テレワークやオフィス空間、ビデオ会議などが注目されるなか、これらに付随する音の課題の解決に取り組んでいく構えだ。