米国半導体工業会(Semiconductor Industry Association:SIA)は2月4日(米国時間)、2018年の半導体市場規模が、前年比13.7%増の4688億ドルとなり、過去最高を更新したことを発表した。
また、併せて2018年12月度(3か月移動平均)の半導体市場についても発表。前年同月比0.6%増ながら、前月比で7.0%減の382億ドルとなったとするほか、2018年第4四半期としても前年同期比0.6%増、前四半期比8.2%減の1147億ドルとなったとした。
SIAのプレジデント 兼 最高経営責任者(CEO)であるJohn Neuffer氏は、「2018年、世界の半導体需要は最高水準に達した。半導体の売上高が過去最高を記録し、半導体出荷数量もはじめて1兆個を突破した。年の後半に市場の動きは鈍化したが、長期的な見通しは依然として堅調である。半導体は私たちの周りの世界をさらにスマートかつつながりのあるものにし続けており、人工知能(AI)、バーチャルリアリティ(VR)、IoTなど、さまざまな新技術が将来的に成長することが期待される」と述べている。
全市場の3割を占めるメモリ
SIAによると、2018年にはいくつかの半導体の製品セグメントで売り上げが際立っていたという。
特にメモリ市場は前年比27.4%増の1850億ドルとなり、、全半導体市場の34%を占めるまでに成長した。メモリカテゴリのうち、DRAMの売上高は前年比36.4%増、NANDの売上高が同14.8%増と、主にDRAMの好調さが目立った。
また、メモリを除いたほかの半導体の売上高は、前年比で約8%増といった成長率で、市場規模が大きいのはロジックIC(1093億ドル)、マイクロIC(MPUやMCU)(672億ドル)となっている。さらに、2018年に成長率が高かった分野としては、パワートランジスタが同14.4%増(144億ドル)、ならびにアナログ製品が同10.8%増(588億ドル)が挙げられるとしている。
2018年12月は全地域でマイナス成長
市場を地域ごとに見た場合、最大の成長地域は中国で前年比20.5%増となった。次いで米州が同16.4%増、欧州が同12.1%増、日本が同9.2%増、アジア太平洋地域/その他地域が同6.1%増と全地域で成長を果たしたが、2018年12月だけを見ると、前年同月比で成長を遂げたのは中国(同5.8%増)、欧州(同2.8%増)、日本(同2.3%増)で、それ以外の米州は同6.2%減、アジア太平洋地域/その他地域が同0.7%減とマイナス成長となったほか、前月比で見ると、中国も同8.1%減となるなど、全地域でマイナス成長となった。
Neuffer氏は「(米国の)半導体産業が強さを維持することは、米国の経済力、国家安全保障、そして世界的な技術のリーダーシップにとって重要である。我々は議会とトランプ政権に対し、2019年、基礎的な科学研究への強力な投資、熟練した技能を持った移民の受け入れ、そしてメキシコ-カナダ協定(USMCA)のような自由で開かれた貿易を促進する政策を早急に実施するよう要求していく。今後、政策立案者と協力して、半導体産業、さらに広い技術分野、そして我々の経済をさらに強化していきたい」と述べている。
なお、SIAが発表した2018年の半導体市場金額である4688億ドルという数字は、民間の市場調査会社が発表している数字に比べると、いささか低いものとなっている(例えばGartenrは4767億ドル、IC Insightsは5140億ドルと発表)。この差については、各社・機関が調査対象としている企業の数の違いによるものと考えられる。SIAはWSTSの統計を元に算出しているが、2019年現在、WSTSの参加企業数は全世界で40社余りとなっており、これらの参加企業からは毎月の実績値を収集できているが、参加していない企業については必ずしも実績値を入手できているとは言えない状態であり、そのため、差が生じているものと考えられる。