TISとニュータニックス・ジャパンは2月1日、都内で記者会見を開き、メインフレームなど企業のレガシーシステムを刷新する支援サービスの提供に向けて協業すると発表した。
今回の協業では、TISがメインフレームなどレガシーシステムからの脱却を、Nutanixが脱却後のプラットフォームを提供し、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に向けた支援を行う。
TIS 執行役員 インダストリー事業統括本部 公共事業本部 モダナイゼーションビジネス事業部長の矢野学氏は「DXを実現するには、先進技術への取り組みと蓄積された技術・ノウハウを組み合わせるべきだ、蓄積されたデータなどを最大限活用する必要があり、どのようにビジネス改革を行うかの戦略も不可欠だ。そして、新たなデジタル技術を適用可能な柔軟なシステムであることが重要であり、新しい製品・サービスの創出につながる」と、話す。
Nutanixの調査によると、日本企業の81%がハイブリッドクラウドが理想的と回答しているが、現状のITインフラはサイロ化し、レガシーシステムに依存することによるブラックボックス化により準備ができていないと指摘。日本企業のDXへの取り組みは、AIなどの技術検証やPoCは積極的に行われているものの、業務適用できていないほか、老朽システムを抱えており、DXの足かせになっているという。
このような状況を鑑みて、ニュータニックス・ジャパン コーポレートマネージング・ディレクター兼社長の町田栄作氏は「われわれではハイブリッドクラウドにより、ワークロードが行ったり来たりできる“いいとこ取り”のITインフラの利用を可能としている。ハイパーバイザー、サーバ、パブリッククラウドなど選択の自由とエコシステムを備えている」と、強調した。
TISが「Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービス」により、事前のアセスメントやテスト、実施のリライト、移行後の保守運用などのサービスを担う。クラウドへの移行後にリファクタリングなどにより、システムを最適化・最新化し、IT技術を最大限活用できる柔軟なアプリケーションにすることで新たな価値の創出を支援するという。
一方、Nutanixは、仮想化やプラットフォームなどオンプレミス環境に加え、Amazon Web Services(AWS)、Google Cloud Platform(GCP)、Microsoft Azureなどのパブリッククラウドサービスと連携させたハイブリッド環境を含めて提供する。
Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービスは、アセスメントサービスとマイグレーションサービス、リノベーションサービスを含み、Nutanixを前提とした柔軟なシステム基盤提供サービスでDX推進を支援する。
同サービスはLift & Shiftの2ステップでもモダナイゼーションを実現し、Liftフェーズで技術的負債を解消(レガシーアーキテクチャ課題の解決)し、オープンでスタンダードなシステムに変更した上で、Shiftフェーズでシステムの最適化・最新化を図るというものだ。
矢野氏は「市場のクラウド志向の高まりは無視できない状況となっている。われわれとしても移行基盤としてクラウドベースの推奨モデルを考える必要性があり、Nutanixのプラットフォーム+クラウド対応を図る『Nutanix Enterprise Cloud』のコンセプトが、われわれが目指すモダナイゼーションのゴールイメージと合致した」と、述べた。
そして、町田氏は「TISがベンダーロックインせずに、レガシーシステムから脱却させることを促進し、われわれはベンダーニュートラルな立場から支援する」と、意気込みを語っていた。
すでに両者間でターゲットリストを共有し、共同営業をスタートしており、3月には共同セミナー、9月に協業初号案件の獲得を目指し、2022年までに50億円規模の受注を計画している。