太陽系の果ての宇宙にある半径がわずか約1キロメートルちょっとしかない小天体を日本の研究者が沖縄県宮古島市に設置した小さな望遠鏡で見つけた。謎に包まれている太陽系の誕生時の姿などの解明の手掛かりになるという。研究成果は1月28日付の英科学誌「ネイチャー・アストロノミー」に掲載された。
発見したのは国立天文台や東北大学、京都産業大学、神戸大学、宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所などの研究グループ。国立天文台の元研究員で現在京都大学研究員の有松亘さんらは、口径28センチメートルの望遠鏡に高速ビデオカメラを装着した簡単な観測システム2台を沖縄県宮古島市内の建物に設置。2016~17年の間、計60時間にわたって2千個の恒星を観測した。
遠い宇宙にある小天体を直接観察するのは難しい。このため同研究グループは、多数の恒星の前を通過する小さい天体を監視する「掩蔽(えんぺい)」という手法を活用。観察した2千個の恒星のうち一つが0.2秒間だけ暗くなる現象を見つけ、解析の結果、恒星の前を微小天体が横切ったことを突き止めた。この微小天体は地球から約50億キロメートル離れた太陽系の果てにあり、海王星よりも外側の軌道で太陽を周回し、半径はわずか1.3キロメートルの極めて小さな天体だった。
海王星よりも遠方にある太陽系の果てには、小天体が多くあり「エッジワース・カイパーベルト」と呼ばれる領域がある。この領域の小天体は彗星(すいせい)の供給源とみられている。しかしこれらの小さな天体は地上からはあまりに暗いために大型望遠鏡を使っても直接観測することはできなかった。
研究グループは、「エッジワース・カイパーベルト」で半径1キロメートル程度の小天体を観測できたのは史上初めてで、今後太陽系の誕生時の姿や惑星の形成プロセスのほか、彗星の供給過程などを解明する手掛かりになると期待している。
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