日本システムウエア(NSW)、DJI JAPAN、日本マイクロソフトは1月30日、人手に頼っている建築物の外壁調査に対し、民生用ドローンとAI技術を活用した「建築物メンテナンスサービス」の開発で協業すると発表した。

建築物の外壁調査においては、専門知識を有する技術者による目視や打診を通じた点検が行われているが、昨今の技術者の高齢化や少子化問題による人手不足が深刻になる一方、老朽化するインフラ・施設などの割合は高くなっていくことが見込まれており、建築物を安全に効率よく検査し、維持管理に役立てる仕組みを作ることは重要な課題となっているという。

今回の協業では、NSWのディープラーニングを活用したAIソリューションとDJIのドローンおよび空撮技術力、日本マイクロソフトのクラウドプラットフォームの3社の強みを生かしたサービスの開発により、建築物の外壁調査業務の効率化を目的としている。

NSWのAIソリューション「ToamiVisionシリーズ」の「CrackVision(クラックビジョン)」を用いて、ディープラーニングにより建築物のひび割れを判定するAIエンジンの作成とクラウドシステムの構築を行う。

また、DJI JAPANのドローンの基本的な飛行訓練や実際の現場における作業手順、データ分析など専門的なトレーニングプログラムを体系的に受講できるトレーニングセンター「UTC」(Unmanned Aerial System Training Center)において、外壁調査のドローン操縦者向けトレーニングカリキュラムの提供を予定。

さらに、日本マイクロソフトはAIおよびマシンラーニングにおける技術をドローンに活用するグローバルな戦略的パートナーシップをDJIと締結していることから、日本における第1弾のプロジェクトとして、NSWの持つAIエンジンとともに建築物の調査業務の実用化に向けた実証実験を行い、その基盤としてパブリッククラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」を提供する。

すでに、3社でサービスの実証実験を実施しており、ドローン撮影した建築物の全体画像を3Dモデル化し、AIで自動抽出したひび割れカ所を3Dモデルに重ねた損傷図を作成するシステムを構築し検証している。

  • データ連携イメージ

    データ連携イメージ

実験結果として、ドローンの撮影画像から一般的なひび割れの許容範囲といわれている0.2mm幅相当のひび割れカ所の検出ができたという。

  • 実施結果(0.2mm 幅相当のひび割れ箇所の検出)

    実施結果(0.2mm 幅相当のひび割れ箇所の検出)

これは、ひび割れ検出技術とドローン撮影・操縦技術が実用に耐えうることを示したものであり、今後はより巨大な建築物に対しても適用できるよう改善を進める。

今後、同サービスの正式リリースに向けて、専門家を交えた検証プロジェクトを開始しおり、3社では建築物メンテナンスへのIT活用の取り組みを協力して進めていく方針だ。