NECネッツエスアイ、情報通信研究機構(NICT)と総合テストベッド研究開発推進センター、テレビ松本ケーブルビジョン、塩尻市、中央コリドー情報通信研究所は1月25日、ネットワークスライシング技術を用いたケーブルテレビ基盤の高度化のためのネットワーク仮想化実証実験を開始したと発表した。

今回、ネットワーク仮想化技術の応用によるケーブルテレビ基盤の高度化を目指し、ネットワーク仮想化技術の中核技術の1つであるSDN(Software Defined Networking)技術を応用した、ネットワークスライシング基盤とエッジコンピューティング基盤を持つパケット中継装置を開発。

実際のケーブルテレビ基盤も用いる技術実証環境を塩尻市の協力を得て構築し、サービスの見える化、ネットワーク品質制御、地域情報サービスの提供という3つの実験項目を定め、それぞれ仮想ネットワーク環境を構築し、統合的な制御により動作することを検証する。

  • 実証実験のイメージ

    実証実験のイメージ

通常のSDNは、荷札に相当するコントロールプレーンのみで通信制御するが、実証実験のSDNは荷札に相当するコントロールプレーン及び荷物に相当するデータープレーンの両方を用いて通信制御する。

従って、通信の7レイヤにおいて、レイヤ2・レイヤ3のみならずレイヤ7までの統合的な通信制御が可能となるため、ネットワークスライシング基盤はレイヤ2からレイヤ7までを一括して論理分割ができるようになるという。

サービスの見える化ではユーザのサービス利用状況を把握し、より適切なコンテンツ提供、サービス品質管理を可能とする。

ネットワーク品質制御についてはネットワークスライシング基盤によりサービス内容や重要性を考慮したリアルタイムな通信量の制御を行い、サービス品質の確保、向上を可能するという。

地域情報サービスの提供に関しては、ケーブルテレビ基盤を用いた自治体や地域住民によるコンテンツの提供、配信を行う。

5月まで実証実験を行い、データの収集、解析を行うほか、地域情報サービス創出に向けた発展的な取り組みとして、テレビ松本ケーブルビジョンおよび地域の企業や市民などが参加するアイデアソンの開催を検討している。

また、取り組みで得られた成果と課題をベースにNECネッツエスアイがサービスの見える化、およびサービスごとのネットワーク品質制御を可能とするネットワーク基盤の製品化に向けた検討と開発を進めていく予定だという。

  • 実証実験のコンセプト(将来イメージ)

    実証実験のコンセプト(将来イメージ)

  • 実証後の展開

    実証後の展開