マクニカは1月24日、同社が今年の1月7日、インドのCrowdANALYTIX社の株式の41.8%を取得し、関係会社化することで合意したことから、同社のAI領域におけるビジネスブランドを「macnica.ai」に統一し、今後、AIをビジネスの柱の1つとして拡大していくと発表した。

同社はこれまでAI関連事業として、半導体、ハードウェア・ソフトウェア製品、エコパートナーとの協業によるAIモデルの開発などに取り組んできたが、CrowdANALYTIX社との関係強化により、AIプラットフォームのターゲット領域の拡大を図っていく。

同社 代表取締役社長 中島潔氏は、記者会見の場で、現在30億円程度のAI事業の売上を、5年に10倍の300億円に拡大すると意気込みを語った。

  • マクニカ 代表取締役社長 中島潔氏

「macnica.ai」では、CrowdANALYTIX社が提供するSaaS型の「フルカスタマイズのAIプラットフォーム」、同社のエコパートナーと自社のデータサイエンティストが最適なAIモデルを開発し、組み込みを行う「AIモデルの開発、組み込み」、顧客が自社のデータサイエンティストでAI開発することを支援する「DIY型のAIモデル開発ツール」の3つのソリューションを提供する。

  • 「macnica.ai」の3つのAIソリューション

「フルカスタマイズのAIプラットフォーム」は、顧客の目的に合わせて、より専門性に特化したAIモデルをCrowdANALYTIX社が開発(モジューラAI)。これを複数組み合わせて提供する。利用はSaaS型で料金は個別見積もり。ユーザーはAPIをコールする形で自社システムから利用する。また、精度保証も行うという。

  • CrowdANALYTIXの概要

「フルカスタマイズのAIプラットフォーム」は、同社の新たな領域として流通、ヘルスケア、電気業界のほか、業界関係なくマーケティング領域に向け提供する。

マクニカ 常務執行役員 事業戦略室 室長 森重憲氏

マクニカ 常務執行役員 事業戦略室 室長 森重憲氏は、CrowdANALYTIX社との関係強化の背景には、データサイエンティストの人材不足があると説明した。

「現在は、データサイエンティストの不足があり、採用・育成が課題。2万人のデータサイエンティストのコミュニティをもつCrowdANALYTIを利用できるメリットは大きい」(森氏)

森氏は、今後はCrowdANALYTIX社と人材交流を図り、ノウハウを蓄積していくと語った。

「AIモデルの開発、組み込み」モデルは、同社と関係が深い製造業や自動車業界(自動運転)向けに提供。エコパートナーと自社のデータサイエンティストが最適なAIモデルを開発。クラウド環境へのAIモデルの実装のほか、エッジ端末へのAIモデルの組み込み、および現場への実装までを支援する。

製造業では、AI×IoTの導入支援として、工作機械や製造ライン、検査工程における予知保全、異常検知、最適化、不良原因、物体検知などの用途を想定。

  • 製造業向けAI×IoT導入支援サービス

自動車業界では、コンサルティング、データ収集、アノテーション、AI構築までをトータルでサポートするという。

  • 自動車業界向け