TrenddForceのメモリ市場調査部門DRAMeXchangeは、2019年第1四半期(1~3月期)のサーバ向けDRAMの契約価格が、前四半期比20%を超す勢いで下落するとの見方を報じた。同社は年初に、15%ほどの下落との予測を示していたが、半月ほどでそれを上回る下落率へと修正したことになる。
また、第2四半期についても、年初の10%未満の下落予想から10%超の下落へと修正。2018年第1四半期には、そろそろ下落に転ずるのではないかと言われていたDRAM価格が閑散期にも関わらず上昇を続けるという結果であったが、1年後の現在、まったく逆の現象が起きる状況となっている。
例年、第1四半期は閑散期で在庫水準が上がるが、2019年は例年よりはるかに在庫水準が高く、しかも需要見通しは依然として弱い状況となっている。DRAMeXcahgeでは、米中の貿易戦争による先行きの不確実性も需要低下の一因になっているとは分析している。
DRAMeXchangeのシニアアナリストであるMark Liu氏は、「急激な価格下落の主な理由は需要低迷による在庫削減の困難さにある。DRAMサプライヤによる市場充足率は、2018年第4四半期の90%から2019年第1四半期に120%に上昇した。これは供給過剰を意味している。現在、北米の大手データセンター事業者は、少なくとも5〜6週間にわたり使用できるだけのサーバメモリを在庫として保有しているが、一方で、OEMも約4週間程度カバーできる在庫を抱えている。彼らの在庫レベルは明らかに通常の2倍あるいはそれ以上になっている」と述べている。
需要低迷で新たな動きを見せるDRAM市場
需要の面では、2年間にわたる力強い需要の伸びのおかげで成長が続いたサーバ向けDRAM市場は現在、需要の伸びが鈍化しつつある。IntelのPurleyプラットフォームへのアップグレード需要が減少しつつあり、メモリコンポーネントの注文も完了している。米中貿易戦争による悲観的な経済見通しと不確実性もDRAM市場に影響を与える可能性があるため、少なくとも2019年上半期は一般的な需要の見通しがさらに保守的になるにつれ、データセンターおよび他のサーバDRAMクライアントは、DRAM価格の下落が続くと予想しており、メモリを他社に先駆けて購入して在庫を積み増そうとはしていないという。
一方の供給面だが、大手DRAMサプライヤは、市場見通しが悪化することを懸念して、生産能力を積極的に拡大しない方向で計画を練り直している。
また、各メーカーは、過剰供給を避けるために、微細化プロセス(例えば、1Y-nmや1Z-nm)および高密度チップ(例えば、16Gbモノダイ)への移行を遅らせようとしている。さらにDRAMサプライヤは、在庫を早く減らすために、従来のような四半期ごとの契約の代わりに、2018年第4四半期から月ごとの契約に切り替えて短期レンジのDRAM価格交渉を開始している。低価格に悩まされるDRAM業界に、受注生産という新たな動きも出てきていることから、DRAM製品の契約価格は引き続き下落するとDRAMeXchangeは見ている。
全体として、DRAMeXchangeでは、価格下落が進んだ2019年第2四半期より中国のデータセンターや世界中のブランドサーバメーカーへのDRAMの出荷が増加しはじめ、それにあわせる形でサーバ需要も徐々に回復していくと見ている。
在庫の問題が適切に解決されれば、サーバDRAMの価格下落率は第3四半期から第4四半期にかけてやや緩和されていく見通しだ。しかし、年間を通して価格が下がっていく見通しで、年末の価格は年初に比べてはほぼ半額程度になる可能性があるという。