セールスフォース・ドットコムは1月22日、このほど提供を開始したBI(分析)とAI(将来予測)を統合したプラットフォーム「Einstein Analytics Plus」の記者説明会を都内で開いた。
冒頭、セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアマネージャーの大森浩生氏は「これまでアナリティクスツールは、従来型BIのシステム本位から専門知識を用いてグラフィカルにしたアナリスト本位、パーソナルBIをはじめとしたビジネスユーザー本位と変遷してきた。しかし、実際にビジネス部門の人が分析する際に蓄積したデータからインサイトを発見することは難しい状況だ」との認識を示す。
同社では、10年前にSalesforceに組み込んだ形のレポーティング(レポート&ダッシュボード)機能、2015年にデータを分析/探索する「Einstein Analytics」(発表当時の名称と異なる)、2016年には予測/レコメンドを行うAI搭載の「Einstein Discovery」(同)を提供している。
従来からのアナリティクス製品は、Anlytics Cloud単独の製品として提供していたが、今回、さまざまな用途で活用を可能とするためEinstein AnalyticsとEinstein Discoveryをセールス、サービス、マーケティングを含む「Salesforce Customer Success Platform」に組み込み、Einstein Analytics Plusを新サービスとして提供するに至った。
Einstein Analytics Plusは、インサイトの発見と結果の予測、レコメンドの提示、スピーディなアクションを可能としている。大森氏は、新サービスの特徴に関して「『AIとアナリティクス』『あらゆるデータとつながる』『スピーディな展開』『誰にでも使える』の4点だ」と、説明する。
AIとアナリティクスに関しては、従来から提供している各種レポート機能でAIが活用でき、例えばSalesforceの取引先情報をリスト化し、その中から自社の売り上げの傾向を個人のスキルに頼ることなく、インサイトを得ることを可能としている。
また、AIを活用したデータ探索と予測により、数百万におよぶデータの組み合わせとレコメンドを数分で自動分析できるほか、レコメンデーションの正しいか否かを判断できるデータやインサイトの提示、精度の測定、バイアスの排除を行うため、信頼性の高いAIを提供するという。
データ連携については、毎月Einstein Anlyticsで分析している行数5兆8000億行のうち、1兆行は外部データの行数となっている。そこで、Salesforce以外のデータを分析したいニーズに対し、ERP、HCM、SCMなどのソースからデータを同期するコネクタ、買収したMulesoftのインテグレーションツールを利用することで、多くのデータを取り込むことができる。さらに、重複、欠損値があるデータをAIのレコメンドで予測、クリーニング、結合することを可能としている。
スピーディな展開に関しては、集めたデータをユーザーが使う際に50種類以上のテンプレートを用意しており、Salesforceで利用したテンプレートをベースにダッシュボードを構築し、データを取り込むことができる。
加えて、1カ所に分析アプリとダッシュボードの作成や動的なダッシュボード、ページでインサイトの分析、モバイル転送通知とオフラインモードでインサイト獲得するなど、すべてをカスタマイズすることができるほか、多くのビジネスアプリにインテリジェンスを組み込みことが可能。
誰でも使える点については、セールスやサービス、マーケティングをはじめ部門ごとのアナリティクスが可能。また、使い方が分からない場合はSalesforceユーザ向けオンライン・トレーニングサービス「Trailhead」を無償で提供しているほか、ガイデッドジャーニーやラーニングアドベンチャー、ハウツー動画などを揃えている。
なお、価格は個別見積もり。