大日本印刷(DNP)は1月21日、ソネット・メディア・ネットワークス(SMN)が提供する広告配信プラットフォーム(DSP)である「Logicad(ロジカド)」の広告枠買付・運用に関するパートナー契約を2018年12月に締結したと発表した。
今回の契約によりDNPは、独自のDSPの提供を1月21日から開始する。DSPは、DNPのグループ書店である丸善ジュンク堂書店が保有する書誌データや日本最大級の書籍分類を活用するほか、ハイブリッド型総合書店であるhontoの本通販ストア内のWebアクセスデータをSMNのAI(人工知能)「VALIS‐Engine」(ヴァリス-エンジン)で分析し、潜在的に生活者が興味・関心を持つ広告を高精度でタイムリーに提供。
例えば、語学に関する書籍を閲覧している人は、海外旅行や留学に関心が高いといったデータから推奨する旅行商品やMBAスクールなどの広告を高い精度で案内することができ、生活者の顕在および潜在的な興味・関心を導きだすことを可能としている。
また、DSPと連動させるVALIS-EngineはSMNのR&Dグループ(a.i lab./アイラボ)が、ソニーグループで培った最先端の機械学習技術をもとに自社開発したAIエンジンで、行動変容を起こす確率の高い生活者を高精度に発見することができるという。
さらに、ターゲティング広告を実施する広告主向けのプラットフォームと、広告枠を提供する企業のプラットフォーム間で広告の自動取引を行うReal-Time Bidding(リアルタイムビッディング)では、膨大な取引情報をリアルタイムに処理し、応札する必要がある。
一般的なDSPは、1件あたり0.1秒の速さでデータ処理を行い応札する中、DNPのDSPのベースとなるSMNの「Logicad」は、約0.003秒で膨大なデータ処理が可能。これにより、処理速度の遅延による広告出稿機会の損失を抑制するほか、広告案件ごとに最適と予測した価格を瞬時に判断し大量の入札リクエストに応札することを可能としている。
今後、両社は同サービスを通じて出版業界の広告分野の活性化を図るとともに、他業界への展開も進め、2021年度までに40社のサービス導入を目指す。また、「出版プライベートマーケットプレイス(PMP)」を構築することで、出版社の持つプレミアムなWebメディアの更なる収益化支援と、書店や生活者への需要喚起を図る方針だ。