ヤンマーは1月17日、危険海域などで自動航行し、海域調査やスマート漁業などでの活用が期待される「ロボティックボート」の基礎技術および「自動着桟システム」を開発したと発表した。

  • 「ロボティックボート」

    「ロボティックボート」

これまで、さまざまなフィールドでロボットやIT技術を研究してきた同社は漁船やプレジャーボートで培った造船技術(ハード)と、中央研究所の基幹技術(ソフト)の融合により、海域調査やインフラ点検などに貢献するロボティックボートの基礎技術を開発。

実証機として開発した同ボートは、ヤンマー造船のガラス繊維強化プラスチック(FRP)の成型技術による小型・低コストでの生産を実現しているほか、ミドルウェアを採用したプラットフォームを搭載することで多様な需要に対応できるシステムを構築しているという。

  • ミドルウェアを採用したプラットフォームのイメージ

    ミドルウェアを採用したプラットフォームのイメージ

実証機は、SIP「次世代海洋資源調査技術」(海のジパング計画)の一環で開発を行い、海洋研究開発機構(JAMSTEC)が実施する海洋資源調査の洋上中継器(ASV)として活用されており、今後は大学や研究機関における海洋試験での活用拡大や産業界での実用化を目指す。

また、関連する自動操船技術として、漁船やプレジャーボートでも搭載が可能な自動着桟システムを開発し、産業用に限らず、自社商品のボードなどへの搭載も検討しており、着桟時の操船の煩わしさの解消と快適な航行の実現に貢献するという。

  • 自動着桟システムの操船のイメージ

    自動着桟システムの操船のイメージ

同システムでは、衛星からの位置情報と自社開発の中継器からの補正情報を受信するRTK-GNSSを活用することで、指定した着桟位置に向けて目標位置・方位を組み合わせた正確な着桟軌道を生成し、高精度な自動着桟を実現。

これにより、着桟時の操船の煩わしさを解消し、マリンプレジャーの楽しさや快適な航行を提供することが可能だという。以下は、自動着桟システムのデモ映像。

今後は2020年をめどに産業用だけでなく、プレジャーボートや漁船などの自社商品での活用を目指し、将来的には無人ロボット船におけるコア技術として開発を進めていく方針だ。