中国内でのファブレス企業の増加に伴い、中国におけるファウンドリサービスの需要が急増しているとIC Insightsが報じている。
2017年、専業ファウンドリメーカーの中国市場での売上高は前年比30%増の76億ドルで、世界市場全体の成長率が同9%増に対して、3倍以上の伸びを見せた。2018年はさらに躍進し、同41%増の107億ドルに達し、世界市場の成長率が同5%増という低い伸び率に対して、圧倒的な伸びを見せているという。
そのため、中国地域が世界市場に占めるシェアも拡大を続けており、2018年は2017年の14%から5ポイント上昇となる19%へと拡大。ついにアジア太平洋地域(日本ならびに中国を除く)を越す規模へと成長を遂げており、IC Insightsでは、専業ファウンドリメーカーの成長は、中国市場の動向に依存していると指摘している。
2018年、中国市場でもっとも高い成長率を達成したのは最大手のTSMCであった。同社の2017年の中国市場での売上高は前年比44%増と大きく伸びたが、2018年は同61%増と、さらに伸ばし、事業規模は60億ドル規模に達した。このため、同社の売上高に占める中国市場のシェアは2016年に9%であったものが、2018年には18%へと拡大している。
この急成長を支えたのが、仮想通貨市場からのカスタムIC需要で、主に2018年第2四半期にかけて売り上げを大きく伸ばした。しかし、年末には仮想通過価格の下落に伴う大きな需要減退の影響を受ける結果となっており、今後の動向が注目される。
また、中国市場での需要の急拡大に伴い、多くのファウンドリが中国内に工場を建設したり、既存工場の拡張を計画しており、現在わかっているだけでも、TSMC、Globalfoundries、UMC、Powerchip、TowerJazzの中国外の専業ファウンドリメーカーを含む、専業ファウンドリメーカー上位7社のそれぞれが、中国での生産拡大を計画しているという。
なお、中国以外の市場だが、最大の市場規模を誇るのが米国で、中国に対し3倍ほどの規模がある。世界有数のファブレス企業があるほか、GAFAをはじめとするIT企業なども独自チップの開発を進めており、根強いニーズが存在しているためだが、2018年の同市場の売上高は前年比2%減とわずかながらマイナス成長を記録している。また、アジア太平洋地域が同2%増、欧州も同5%増と手堅いが、日本は同2%減とマイナス成長となっており、主要5地域中でもっとも小さな市場となってしまっている。