国際電気通信基礎技術研究所(ATR)とKDDI、パナソニック、早稲田大学、京浜急行電鉄は1月10日、増加するインバウンドにより多くの利用が見込まれる国際空港の駅ホームにおいて、安全・安心やインバウンドの利便性向上を目指し、次世代移動通信システム「5G」を活用した応用実証に国内で初めて成功したと発表した。
実証試験は、2018年11月21日~2018年12月21日まで、京急電鉄の羽田空港国際線ターミナル駅において、サムスン電子が提供する「5G エンドツーエンドソリューション」を用い、総務省の技術試験事務における5G総合実証試験として行った。
5Gを活用することで、既存のモバイル通信では実現が困難であった大容量データの伝送が可能となり、4Kの高精細映像をリアルタイムに伝送・収集・分析し、早期に危険を検知することや、高精細映像による観光客への情報提供など、駅の安全・安心を向上させることが期待されているという。
実証試験では、京急電鉄の羽田空港国際線ターミナル駅上り地下ホームに28GHz帯の実験エリアを構築し、5Gタブレットを使用し、駅ホームに設置した固定カメラと駅ホームを見回りするロボットに搭載した4Kカメラの映像を、5Gを通じてモニタやVRゴーグルへの送信。
また、5Gで送信した4K映像をサーバにて収集・分析することによる、2K映像では発見できなかった刃物の検知や、不審者に対する見回りロボットの駆けつけに加え、5Gタブレットを用いた同時翻訳、4K画質による観光案内映像の配信を実施した。
各社の役割として、ATRは総務省の技術試験事務における5G総合実証試験の請負を、KDDIは5Gのエリア設計・評価を、パナソニックは4Kカメラとロボットを活用した高精細映像解析アプリケーションの基本評価および映像伝送システムの評価を、早稲田大学は4K VRカメラを備えた見回りロボットおよびVRゴーグルでの監視システムの開発、ならびに4K画像伝送「5G」ダウンリンク評価と5Gエリア拡大技術の開発をそれぞれ担当し、京急電鉄は京浜急行電鉄の羽田空港国際線ターミナル駅を実験場所として提供した。