1977年の打ち上げ以来40年以上も太陽圏内を旅してきた米探査機「ボイジャー2号」が太陽圏の外に出て、今もはるかかなたの宇宙を旅している。この探査機は木星や土星、天王星、海王星を次々と観測して貴重なデータや鮮明な画像を地球に送信し、これらの太陽系惑星の理解を深めた。人類が直接にはとてもたどり着けない宇宙をまだ飛んでいることから遠い宇宙へのロマンをかきたてている。

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    ボイジャー2号による多くの記録。中央はボイジャー2号の想像図(NASA提供)

米航空宇宙局(NASA)が昨年末の12月10日に発表したところによると、ボイジャー2号は同年11月5日に太陽圏を離れて宇宙の星間空間に出た。そして年が変わった今も地球から約180億キロも離れた宇宙を飛行中だ。この距離は太陽と地球との距離の100倍をはるかに超える距離に相当する。同じ年に米フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられた仲間の探査機「ボイジャー1号」は2012年に既に星間空間に出ている。ボイジャー2号は太陽圏の外の宇宙に出た2つ目の人工物となっている。

ボイジャー1号は1979年3月、太陽系では最大の惑星の木星付近に到達し、2号も同年7月に到達した。木星の表面にある「大赤斑」という独特の模様が、複雑な大気の流れであることが分かったのは、この2機の観測による成果で、新たに3つの衛星も見つかった。ボイジャー1、2号は、それぞれ81年に土星付近に到達。土星の輪を撮影してここでも新たな衛星を発見している。

ボイジャー2号はその後1986年に天王星に、88~89年に海王星にそれぞれ接近して観測を続け、太陽系の中でも地球から遠く離れた惑星の鮮明画像を提供した。2号はその後も太陽からの太陽風が届く「太陽圏」(ヘリオスフェア)の外側の宇宙を飛行していた。2号の運用は当初5年と想定されたがこれを大幅に超える活躍をした。

ボイジャー2号は打ち上げに際して「地球外生命体」に遭遇した場合にも備えるというロマンあふれる企画が検討された。「地球の音」というタイトルが付けられた金メッキされた銅製レコードと再生用の針を搭載。レコードには、波や風の音、動物の鳴き声などの地球上のさまざまな音や55の言語も収録されている。このほか、日本の尺八の演奏音も収められた。また当時のカーター米大統領による「われわれは、いつの日にか、銀河文明の一員となることを期待する」などとするメッセージも収められた。

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    ボイジャー2号が撮影した冥王星(NASA提供)

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    はるか宇宙を旅するボイジャー2号の想像図。機体中央の金色の円形部分は人類のメッセージを収めたレコードのジャケット(NASA/JPL-Caltech提供)

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    ボイジャー2号に収められた金メッキされた銅製レコードのジャケット(NASA提供)

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    ボイジャー2号が撮影した天王星(NASA提供)

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