NTTコミュニケーションズ 代表取締役社長 庄司哲也氏は、2019年の年頭所感を発表した。

明けましておめでとうございます。旧年中は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。本年もより一層尽力してまいりますので、昨年同様のご厚情を賜りますようお願い申し上げます。


NTTコミュニケーションズグループは、本年7月1日に設立20周年を迎えます。この間にも、通信やICTの世界では絶え間のない技術革新が続いており、この技術革新を背景に、ビジネスにおいては、ハイパースケーラーが国境を越えて市場を席巻したり、スタートアップのイノベーションが既存ビジネスを根底から覆したりするなど、従来の常識やトレンドを一変するような大きなうねりが起きています。


こうした動きや変化に対して、企業として求められるべきは、守りとしての適応だけでなく、自ら変化を創りだすデジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進です。


振り返れば、1999年創業当時のキャッチコピーは “CHANGE COMMUNICATIONS.”でした。平成も最後となる節目の年、NTTコミュニケーションズグループは、デジタルで世界を変えていくという決意はそのままに、DXによる “Re-born (新生)” を推進する「DX Enabler」として、新たなスタートを切りたいと考えています。


私どもは「DX Enabler」として、お客さまのDXを実現するため、「One NTT」の総合力を発揮しながら、まずはDX推進に必要とされる、信頼できる基盤となる「データ流通プラットフォーム」の提供を開始します。NTTグループの「Cognitive Foundation」のコンセプトにもとづく柔軟で信頼性の高いプラットフォームが実現されるわけです。


このプラットフォームは、「マルチオーケストレーター」によって、IoTによるデータ収集からAIによるデータ分析に至るまでを包括的に提供する機能を持ち、お客さまの多様なニーズに応えることが可能で、従来提供してきた企業向けクラウドサービスの「Enterprise Cloud」や「SDx+M」ソリューションなど、Software Definedの柔軟なアーキテクチャーのアセットやノウハウを活用したものであります。仮想化されたさまざまな機能を、お客さまのICT環境の中で最適な場所へ、自動的に装備することができることになります。


また、昨年相次いだ自然災害や、増大するセキュリティ上の脅威、あるいは個人情報の流出・流用事件などを鑑みても、データ利活用は安心・安全に実施できることが肝要です。「データ流通プラットフォーム」では、私どもがデータを囲い込むことはなく、お客さまが自社の所有するデータへ自在にアクセスしてビジネスに活用できる透明性の高い環境を、ニーズに応じた管理方法やセキュリティで提供します。私どもはこのような形で、新しいデータマネジメントの在り方を提案し、デジタル時代の倫理とプライバシーを確立していきたいと考えています。


さらに私どもは、グループを通じた “Re-born” により自らのDXも推進します。本年は、グローバル事業の統合と、それに伴う国内事業の整理によって、海外・国内双方のマーケットにおける競争力を強化します。そしてNTTグループの強みを結集し、「One NTT」として、デジタル領域でのケイパビリティを拡充していきます。


この “Re-born” の象徴となるのが、2019年1月4日からの本社機能の移転です。日比谷から移る新しいオフィス「大手町プレイス」には、SDxやIoTなどのテクノロジーを盛り込んだだけでなく、「共創」を促進する場をふんだんに設けています。ここを、アイデアや変革が生まれる起点にしていきたいと思います。


本年は日本においてラグビーワールドカップが開催され、さらに翌年には東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が控えているという大事な一年になります。これらの世界的イベントへの成功にも大きな貢献ができるよう尽力してまいります。