2019年の年頭にあたり、ソフトバンク 代表取締役 社長執行役員兼CEOの宮内 謙氏は、以下の年頭所感を発表した。
あけましておめでとうございます。
昨年は東証1部へ上場し、当社がより大きく羽ばたくための大きな一歩を踏み出した年でした。お客さま、株主の皆さま、そして多くの関係者の皆さまの支えがあってこそ、この一歩を踏み出せたのだと思います。心からお礼申し上げます。今後も皆さまからのお声に真摯に耳を傾け、期待に応えられるように事業を成長させていきます。
われわれは創業以来、常に挑戦者でした。パソコンソフト、固定電話、ブロードバンド通信、携帯電話・スマートフォンなど、その時代に必要なテクノロジーの潮流を取り入れ、お客さまや市場ニーズをくみ取り、迅速にサービスとして提供していくという挑戦の繰り返しでした。その過程で、企業統合などで新しいメンバーをグループに迎え入れ、お互いに学び合い、一つのチームとなり、いくつもの変革の波を乗り越えて、組織として強くなってきました。われわれはIT・通信業界において、さまざまな経験を持った人材の集団であり、日本の通信サービスの変革に常に挑戦し、実績を残してきた会社であるという強い自負があります。
今年は新しい元号に変わりますが、通信業界は5G元年です。5Gの世界では、これまで以上に大容量データのやり取りが可能となり、AIやIoTなどの事業領域との連携がますます高まっていきます。また、さまざまな産業分野において、これらが高度な社会インフラとなって、新しいテクノロジーやビジネスモデルも生まれることになるでしょう。テクノロジーによる変革の波は、われわれの想像以上に大きく、速く社会に浸透し、これまで当然と思っていたビジネスモデルがあっという間に陳腐化し、あっという間に新しい事業者がその市場を支配してしまうくらいの影響力を持っています。しかし、このような大きなパラダイムシフトが起こる時代には、同じくらい大きなビジネスチャンスが潜在していることも歴史が証明しています。このチャンスを先取りして、多種多様に進化したビジネスニーズに迅速に対応することが、これからの通信業界と、通信業界以外の関連事業分野での競争に生き残るために必要不可欠です。
すでにわれわれは、AI、IoTなどの新しいテクノロジー事業領域において先手を打っており、昨年から掲げている「成長戦略」と「構造改革」をさらに推し進めています。成長戦略は既存の通信事業の基盤を強化しつつ、最先端のテクノロジーとネットワークを組み合わせた新規事業を展開することで、構造改革はAIやRPAなどを活用したコスト削減と効率化を社内で実現し、社員の働き方も進化させていくことです。
この二つは大きな挑戦です。しかし、これらに着実に取り組んでいくことで、外部の変革によるチャンスを取り込むことができると同時に、自ら変革を引き起こし、チャンスを生み出すことができるようになると思います。そして、通信事業者としての責務をしっかりと果たし、魅力あるサービスと新しい付加価値を生み出し、社会や生活全体がより一層便利に、そして快適になるように貢献していきたいと考えています。これこそがわれわれの経営理念である「情報革命で人々を幸せに」という言葉を具現化することになると強く信じています。
今年もソフトバンクをどうぞよろしくお願い申し上げます。