ポーランドのカトウィツェで開かれていた国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)は、地球温暖化の国際枠組であるパリ協定の実施ルールを採択した後、現地時間の16日未明に閉幕した。4日から14日までの日程で開かれていた会議は先進国と発展途上国との間などで主張が対立して交渉は難航した。このため会期を延長して議論を進めた結果、最後は全ての国が共通の厳しいルールの下で温室効果ガスの排出削減を進めることで合意した。実施ルールの大枠では何とか合意に至ったが、2020年の協定の運用開始に向けていくつかの重要課題は先送りとなった。

  • alt

    パリ協定の実施ルールを採択したCOP24最終日の様子(提供・COP24事務局)

  • alt

    パリ協定の実施ルールを採択したCOP24最終日の様子(提供・UNFCC/ジェームズ・ダウソン)

COP24事務局が公表した関係文書や地球環境研究機関の関係者らによると、温室効果ガスの新たな排出削減目標や、削減実態を検証する方法などについては、先進国と発展途上国との間で差をつけず、共通の基準を適用する、というパリ協定の根幹をなすルールで合意した。また、発展途上国が求めていた先進国からの資金援助については、現在年間1000億ドルを目標としている先進国の拠出総額をさらに増やす方向で2020年以降2年ごとにできる限り拠出可能額を示すことでまとまった。しかし一方、大幅な上積みが必要と指摘される各国の排出削減目標を30年以降どの程度の頻度で更新するかや、他国との排出量取引といった「市場メカ二ズム」など、いくつかの項目については、今後も継続して交渉することになった。

会議に参加した関係者によると、今回交渉が極めて難航した要因として、これまでのCOPで何度も繰り返されてきた先進国と発展途上国間の基本的な対立に加え、途上国の中でも温暖化による海面上昇で国土が消滅する島嶼(とうしょ)国などと、これから経済発展を目指す国との間で温度差が生じた。また先進国の中でも、米国が協定から離脱を表明(離脱発効は2020年)していることやフランスが国内情勢から存在感を示せなかったことなどもあり足並みが乱れたという。

パリ協定は、京都議定書に代わる国際枠組として2015年12月に採択され、20年に始まる。協定は今世紀後半に世界の温室効果ガスの排出を実質ゼロにして、産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えることを目指している。協定に批准した全ての国がそれぞれに排出削減目標を決めて国内対策に取り組み、5年ごとに検証することなどを求めているが、具体的な運用のための実施ルールはこれまでなかった。

関連記事

「パリ協定の実施ルールづくり難航 COP24で先進国と途上国が対立」

「京都議定書誕生の地で来春IPCC総会開催へ」