1999年にMotorolaよりスピンオフする形で誕生したON Semicondutor。当初は同じくMotorola系のFreescale Semiconductor(現NXP Semiconductors)がロジック系を継承したため、アナログ半導体系を中心に事業を展開してきたが、企業買収や事業買収を積極的に推し進めることで、ロジックやセンサなど、幅広いラインナップを現在は提供するに至っている。そんな同社は全体、オートモーティブ、インダストリアル、コミュニケーションの3つのセグメントならびにそれを横断する形でのIoTの分野に注力しているという。

2018年第3四半期におけるこれら3セグメントの比率はオートモーティブが30%、インダストリアルが26%、コミュニケーションが20%と、実に売り上げの8割近くをこれらの事業が占めていることからも、同社の注力の度合いが見えてくる。また、この3セグメントに対しては、全研究開発費の75%を投じているとのことで、今後もこれらのセグメントに注力していく見通しだという。

  • 市場のけん引役

    ON Semiconductorが注力する市場のけん引役 (出典:ON Semiconductor発表資料)

同社シニア・バイスプレジデント,コーポレート・ストラテジ、マーケティング&ソリューションエンジニアリングのデイビッド・ソモ氏は、「半導体の成長を牽引しているのは、自動運転をはじめとするエレクトロニクス化(電動化)」であり、自社のことを「イメージセンサ、超音波センサ、レーダーなど、複数のセンサを提供できるユニークなポジションにある存在」と評価する。

  • デイビッド・ソモ氏

    ON Semiconductorのシニア・バイスプレジデント,コーポレート・ストラテジ、マーケティング&ソリューションエンジニアリングであるデイビッド・ソモ氏

中でも、ほかの半導体メーカーもそうだが、エレクトロニクス化で半導体の搭載数が増加するため、高い市場成長性が期待されている自動車関連については、「自動車(OEM)メーカーが半導体メーカーと連携することが増えてきている。世界中のOEMに対して、我々はセンシングや制御を中心に、すべての製品を提供している」とし、その技術はフォーミュラEのメルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツおよびメルセデスEQフォーミュラEチームと、公式サプライヤ関係を構築するまでに至っているとした。

  • さまざまなOEMと連携

    さまざまなOEM/ティア1サプライヤに向け、さまざまなデバイスを提供している (出典:ON Semiconductor発表資料)

また、5Gのローンチで注目を集める通信市場については、「2020年の東京五輪もあり、日本は先頭グループにいる。5Gになれば、より多くの半導体が必要になる」としたほか、データセンターのハイパースケールクラウドを提供するプロバイダを中心に、規模の巨大化に伴う電力消費量の抑制に向けた電力マネジメントなどに向け、より多くの半導体需要が見込まれるとし、「我々はパワー関連製品をもっとも幅広く提供している半導体メーカーの1社であり、その種類も豊富。提供可能なソリューションも多岐にわたるため、パッケージンもいろいろなものを用意している」とし、電力関連のさまざまなニーズに対応できる用意があることを強調した。

  • さまざまな素材とパッケージに対応

    さまざまな素材のパワー半導体をさまざまなパッケージで提供 (出典:ON Semiconductor発表資料)

こうした電源関連はIIoTの分野でも求められる技術となる。そのため、同社ではIIoTについては、「ネットワーク、センサ、消費電力、そして演算性能の4つが必要であり、そのすべてを提供できるのが我々である」と、自社の特徴を説明する。

  • IIoTの構成要素

    IIoTの実現には少なくとも4種類の半導体を組み合わせる必要があり、同社はそれらを1社で提供できる数少ない企業とする (出典:ON Semiconductor発表資料)

また、エッジAIの活用が期待される今後、「その実現には、いかにセンサとインテリジェント性を組み合わせていくかが重要」とし、同社のような半導体パートナーとの連携を深めていく必要があるとする一方、自社としても、開発キットはリファレンスの充実を図るなど、そうしたこれまであまり付き合いの無かった企業でも、容易に開発ができる環境の整備を図っているとする。

  • エッジAI

    リアルタイム処理が求められる産業分野ではエッジAIの需要が高い (出典:ON Semiconductor発表資料)

「新しくて、目を見張るようなアプリケーションが次々と見えてきた。今後も継続的な研究開発を進めることで、そうしたアプリケーションを実現したいカスタマのニーズに応えることができるソリューションの提供を目指していく」(同氏)とのことで、今後も注力する3セグメントを中心に、エレクトロニクス化の実現を支援するソリューションを積極的に展開していくことで、事業の拡大を図って行きたいとしていた。

  • IoTプラットフォームロードマップ

    ON SemiconductorのIoTプラットフォームロードマップ (出典:ON Semiconductor発表資料)