半導体市場調査会社である仏Yole Développementは、このほど車載照明市場動向レポートを発行したが、その中で、車載照明市場は、2017年の274億ドル規模から、2017年~2023年の間、年平均成長率5.3%で成長し、2023年には373億ドル規模にまで成長するとの予測を公開した。
市場の成長を牽引するのはLEDのコスト低減、標準化、LEDモジュールの最適化といった技術革新が進むことが大きく、同社の予測では、2017年に全車載照明の57%を占めていたSSL(solid state lighting )が2023年には全車載照明の85%にまで拡大するとしている。
自動車分野におけるLED化は、近年急速に普及が進みつつあり、すでに高級車や一般大衆車のみならず、新興市場向け車両でも採用が進みつつある。また、ほとんどのティア1メーカーが、フルLEDベースのヘッドランプシステムを開発しており、その技術はCセグメント(中型車に相当する欧州分類)のみならず、コンパクトエグゼクティブカーにあたるDセグメントでも必須となっているという。
また、LEDの次の光源として期待されるレーザーベースのヘッドランプは最大600mの長距離暗視を実現できるため、DMDと組み合わせれば最大1Mピクセルの高解像度照明システムを提供できるようになるほか、同じく次世代光源として期待される曲げたりすることができる有機ELによるRCL(Rear Combination Lamp)は、2D光源から3D光源へとデザインシフトを起こする可能性があるともしている。
こうした照明素子の進化に併せて、センサやコントローラ、そしてソフトウェアやAI機能などを組み合わせることで、より運転状況に適したビームパターンを自動的に選択して提供することが可能となる。すでに、カメラやレーダーなどの機能と組み合わせたマトリクスLEDシステムが活用されつつあるが、複数のLEDを集合体としつつも、個別制御することで、対向車などを自動で追尾し、そこだけ直接照明を当てない、といったことが可能となってきている。
なお、このような照明のデジタル化は、道路の安全性とドライバーの快適性も向上させることにつながるが、さらにインテリジェント性をもつようなデジタル照明を実現するためには、技術や製造、そして法規制などさまざまな分野でまだまだ解決すべき課題が残されている。Yoleでは、そうした課題は、デジタル照明がセンサやデータ処理と連携を深めていくことで、克服していけるようになるとみている。