IDC Japanは12月13日、ネットワーク仮想化に関する国内企業ユーザー動向調査の調査結果を発表した。これによると、SDN(Software-Defined Network)技術を導入していると回答した企業の割合は2017年の調査結果と比較して、データセンターネットワークで11.1ポイント、企業内LANにSDN技術を導入している企業は13.1ポイント増加したという。

  • ネットワーク仮想化に対する積極性と経営層の要求に対する自社ネットワークの充足性の意識

    ネットワーク仮想化に対する積極性と経営層の要求に対する自社ネットワークの充足性の意識

同調査は国内企業795社を対象に、SDNやNFV(Network Functions Virtualization)などネットワーク仮想化の利用動向や課題、ネットワーク仮想化技術に対する企業の意識を調査したもの。

国内企業におけるSDN技術の導入が着実に進んでいる一方で、SDN技術導入の目的は2017年の結果と大きく変わらず、物理ネットワークの統合やネットワーク機器設定の一元化、セキュリティ対策が上位に挙がっている。このことから、SDNの導入効果を得やすいユースケースに対する認知が、市場内で定着していることが伺えるという。

また、ネットワーク仮想化全般に対して、導入に積極的かそうでないかに二極化しており、例えばSDN技術を導入している企業ほど、別なネットワーク仮想化技術であるNetwork Disaggregation(ネットワーク機器におけるハードウェアとソフトウェアを分離する技術)や、NFV、vCPE(virtual Customer Premises Equipment)の導入にも前向きだとしている。

ネットワーク仮想化の導入姿勢において、技術間の相関性は非常に高いと同社は推測していいる。さらに、約60%のネットワーク管理者は、自社ネットワークとその運用管理で経営層の要求を満たしていると考えている半面、そのように考える企業は、ネットワーク仮想化に対して積極的に取り組む傾向があるという。

例えば、データセンターSDNを導入済み企業の78.8%が経営層の要求に応えられていると考えているのに対して、導入しない企業では約6割に留まっている。加えて、導入しない企業では経営層の要求に応えられているかどうか分からない企業も目立ち、経営層の要求に対する意識の違いも明らかになっている。

導入が進んでいるSDNだが、認知度は50%前後でほぼ飽和状態に達していて、マーケティングメッセージとしてのSDNの鮮度が低下していることが伺えるという。一方で、Intent-Based Networkingなどの企業ネットワークにおける新たな潮流に対する認知度も、現在のところ20~30%に留まっている。

同社コミュニケーションズ グループマネージャーの草野賢一氏は「ネットワーク機器ベンダーは、SDNに代わるメッセージで自らが描く次世代ネットワークを訴求すべき時を迎えている。その一つであるIntent-Based Networkingに関して、まずはネットワーク仮想化技術に対する感度と受容性の高い企業の理解を促すことに力を注ぐことが得策である」と述べている。