SAPジャパン 常務執行役員 ゼネラルビジネス統括本部 統括本部長 牛田勉氏

SAPジャパン、RPAテクノロジーズ、アイ・ピー・エスは12月10日、中堅中小企業向けにERPの入力業務を自動化するソリューション「EasyOne Cloud」を提供開始すると発表した。

同ソリューションは、クラウドでERP「SAP S/4HANA」を提供する「SAP S/4HANA Cloud」、クラウドベースのアナリティクスソリューション「SAP Analytics Cloud」、RPAツール「BizRobo!」をパッケージングし、SAP S/4HANA Cloud向けに開発したロボットを提供するもの。SAP S/4HANA Cloudへの入力作業をBizRobo!との連携により、自動化する。

SAPジャパン 常務執行役員 ゼネラルビジネス統括本部 統括本部長の牛田勉氏は、今年9月に経済産業省が発表した「デジタルトランスフォーメーション レポート」を引き合いに出し、同省が掲げる「2025年の壁」が中堅中小企業にとっても課題であり、今回、その課題を解決するためのソリューションを提供すると語った。

SAPジャパン ゼネラルビジネス統括本部 第二営業本部 第一営業部 部長 綱島朝子氏

「2025年の壁」とは、既存のシステムの複雑化・ブラックボックス化が企業におけるデジタルトランスフォーメーションを阻害しており、デジタルトランスフォーメーションを実現できないことにより、2025年以降、年間最大12兆円(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性がある状況を指す。

SAPジャパン ゼネラルビジネス統括本部 第二営業本部 第一営業部 部長の綱島朝子氏は、中小企業が直面する業務面およびIT面での課題に対し、「ERPの業務プロセスをそのまま使う」「少ない人数で仕事の仕方を変えて、生産性を上げる」といったことを実現するための解が同社のクラウドサービスと説明した。

一般的なERPパッケージは機能を使って開発することが前提だが、SAPのクラウドは標準で装備されている基幹業務のシナリオから選択することが可能だ。

綱島氏は、同社のクラウドサービスを利用しても、データの入力作業にかかる時間とコストはユーザーの負担となっており、これを自動化して減らすために、今回の協業が実現したと述べた。

RPAテクノロジーズ 代表取締役社長 大角暢之氏

RPAテクノロジーズ 代表取締役社長の大角暢之氏は、中堅中小企業がERPを検討する際の障壁「多くの人手が必要」「人材が集まらない」「人間はミスをする」を、BizRobo!とSAPのクラウドで解決すると語った。

業務オペレーション環境「SAP S/4HANA Cloud」と意思決定環境「SAP Analytics Cloud」を利用する上で、手間と時間がかかる作業をRPAが代行するというわけだ。具体的には、現場におけるオペレーションの代行、分析や企画に必要な内部および外部の分析に関する作業を自動化する。

さらに大角氏は、今回の取り組みについて「業務の効率化にとどまるものではなく、デジタルトランスフォーメーションの時代に必要とされるビジネスモデルへ進化させるもの」と語った。

アイ・ピー・エス 代表取締役社長 渡邉寛氏

RPAテクノロジーズとIPSは共同でSAPのソリューションのためのアダプタを開発しており、既に数十のロボットが完成しているという。

「EasyOne Cloud」を実際に販売するアイ・ピー・エス 代表取締役社長   の渡邉寛氏は、今回の取り組みについて「われわれが提供したい『ワークスタイル・エボリューション』は企業におけるマイナスの状態をゼロにすることではない。生産性を上げて、今までは得ることができなった価値を創造したい」と語った。

「EasyOne Cloud」はERP、BI、RPAツールの設定すべてを約9週間という短期間で提供できるのも特徴の1つだ。主に年商250億円以下で、50~100ユーザー規模の中堅中小企業を対象としており、初期費用は980万円からとなっている。月額料金は利用内容によって異なるが、1ユーザー当たり3万円からとなる。

  • 「EasyOne Cloud」の概要

  • 「EasyOne Cloud」の導入プロセス