日本半導体製造装置協会(SEAJ)ならびに国際半導体製造装置材料協会(SEMI)は、2018年第3四半期における半導体製造装置出荷額が前四半期比5%減、前年同期比11%増の158億ドルになったことを発表した。
地域・国別に見ると、中国市場が、前四半期比5%増、前年同期比106%増の39億8000万ドルとなり、同統計開始以来、初めてトップ国・地域となった。以前からSEMIでは、2019年に中国が韓国を抜き、世界最大の半導体製造装置市場になるとの予測を述べてきたが、メモリ市場の軟化の影響を受けた韓国勢の勢いが鈍化したこともあり、若干早まった感がある。
その、これまで6四半期トップを維持していた韓国は、前四半期比29%減、前年同期比31%減の34億5000万ドルと大きく減速した。半導体業界トップのSamsung Electronicsが、第3四半期に実施する計画だった平澤(ピョンテク)工場の上層階東側のDRAMライン増設のうち、第2期拡張部分への設備投資を延期したのが影響した模様だ。
Samsungがいつ設備投資を再開するのかについて、装置メーカーは固唾を呑んで見守っているが、2019年はNANDに加えてDRAMも大幅な供給過剰が予想されることから、メモり価格の急激な下落が見込まれており、当面は設備投資を行なって、増産体制を敷くといったことにはならない可能性がある。
また、韓国がトップに立つ以前のトップの座にあった市場規模3位の台湾は、前四半期比33%増、前年同期比23%増の29億ドル。同4番手の日本も前四半期比6%増、前年同期比40%増の24億1000万ドルと堅調に成長している様子がうかがえる。一方、5番手の北米は前四半期比14%減、前年同期比15%減、そして7番手の欧州も前四半期比29%減、前年同期比20%減とブレーキがかかった状態となっている。
なお、トップに立った中国市場だが、米中貿易摩擦や米中ハイテク覇権争いの影響で今後については不透明感が漂っている。2国間の協議は進められているとはいえ、米国商務省は10月に中国の新興DRAMメーカーJHICCに対して、半導体製造装置および部材の輸出を規制することを発表。JHICCは製造装置の輸入に難儀する可能性が出ている。今後、米国の中国に対する締め付けがさらに厳しくなることがあれば、中国市場における半導体製造装置の売り上げは期待通りに伸びていかないといった可能性もあり、両国間の駆け引きに注目する必要があるといえる。