2018年第4四半期(10~12月期)におけるDRAMの大口契約価格が下落傾向となっている。そのため、一部のDRAM購入顧客はDRAMメーカーと、従来からの四半期単位の価格契約をやめて、月単位あるいはそれより短い期間で契約更新を行って購入価格の低減を図っているとの調査結果を、TrendForceの半導体メモリ調査部門であるDRAMeXchangeが報じた。

すでに複数の契約が、11月中に契約価格を2回下方修正した模様だが、これは半導体業界ではまれなケースであるという。この状況は、DRAMの大口顧客がDRAMの価格が今後も継続して下落していくという見方をしていることを示すものだとDRAMeXcahgeでは説明している。

今年11月、ミドルレンジ/ローエンドに向けた4GB/8GB PC DRAMモジュールの平均価格が下落を開始。4GB PC DRAMモジュールの平均契約価格は、10月の31ドルから30ドルへと3.2%下落したほか、8GB PC DRAMモジュールも10月の61ドルから60ドルへと1.6%ほど下落している。

こうした動きは現在も継続しており、DRAMeXchangeでは、2018年第4四半期全体のDRAM平均販売価格は前四半期比で約8%の下落になると予測している。特に、PC DRAM、サーバDRAM、および特殊用途DRAMの平均販売価格は、いずれも10%に近い下落率となる見通しとしている。唯一、モバイルDRAMについては、下げ幅が5%程度と小幅に留まる見込みだが、これは前回のDRAMの供給不足の際に、価格の上昇がゆるやかであった背景であり、その分、下落もほかのDRAM種別に比べてゆるやかになるという予測である。

  • DRAM価格の下落率予測

    2018年第4四半期および2019年第1四半期の用途別DRAM販売価格の下落率 (出所:TrendForce/DRAMeXchange、2018年12月時点の調査結果)

供給は増えるも需要が減る2019年第1四半期

気になる2019年第1四半期の見通しだが、1Y-nmプロセスを採用したDRAMの比率が拡大するのと、その歩留まりの向上、そして2018年第4四半期におけるSamsung Electronicsの平澤(ピョンテク)工場の継続的な生産能力増強になどを背景に、供給量は増加して行く見通しだ。

一方の需要面だが、毎年第1四半期は通常、DRAM市場の閑散期で、中でもスマートフォン向け需要は、スマートフォンそのものの在庫が超過気味であることもあり例年より少なくなりそうな気配であることから、モバイルDRAMの価格下落がこれまでよりも大きくなる可能性があり、結果としてDRAM市場全体の価格下落率は、2018年第4四半期に比べて、さらに大きくなる可能性が高いという。

また、PC DRAMは需要と供給の状況の変化に非常に敏感なこともあり、DRAMeXchangeでも同四半期の価格は前四半期比で10%以上下落するとの予想を出している。サーバDRAMも、顧客が相当な在庫を抱えていることと、季節的な要因に加え、米国と中国の貿易紛争の影響も考えられることから、DRAMメーカー各社は、販売促進を図る目的で、価格の引き下げを行なっている模様だ。特にDDR4製品は、PC、サーバともに需要が乏しいため、DDR3製品よりもさらに急激に価格が下落する可能性があるという。

さらに、特殊用途(主にコンシューマ向け)DRAM分野も第1四半期は伝統的に閑散期であることから、価格は引き続き下落傾向となる見通しであり、前四半期比で10%以上の価格下落の可能性をDRAMeXchangeでは指摘している。