米探査機「オシリス・レックス」が目的地の小惑星「ベンヌ」の上空に到着した、と米航空宇宙局(NASA)が4日発表した。この探査機は、小惑星から岩石などの試料を採取して地球に持ち帰るという目的が日本の探査機「はやぶさ2」と同じで「米国版はやぶさ」と呼ばれる。計画では2023年に地球に岩石を持ち帰る。日本の探査機「はやぶさ2」が6月に小惑星「りゅうぐう」上空に到着しており、来年初めに着陸と岩石の採取に挑む。今後、日米間で2つの小惑星の試料を交換するなど国際研究協力を進めるという。

  • alt

    米探査機「オシリス・レックス」が約80キロ上空から撮影した小惑星ベンヌ(提供・ NASA

  • alt

    日本の探査機「はやぶさ2」が撮影した小惑星「りゅうぐう」。推定最大幅約900メートル。(提供・JAXA、東京大学、高知大学、立教大学、名古屋大学、千葉工業大学、明治大学、会津大学、産業技術総合研究所)

  • alt

    小惑星「ベンヌ」で試料採取中の無人探査機「オシリス・レックス」の想像図(提供・NASA)

オシリス・レックスは、小惑星「イトカワ」の試料を世界で初めて地球に持ち帰るという偉業を成し遂げた日本の探査機「はやぶさ」の成功体験を生かした“米国版「はやぶさ」。NASAによると、オシリス・レックスは2016年9月に米フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から打ち上げられた。その後、太陽の周りを回りながら約20億キロ飛行してベンヌに近づき、3日に19キロ上空に到達した。今月下旬にベンヌの軌道に入り、周回しながら上空から観測する。来年2月ごろに岩石を採取する地表面を特定、その場所に最接近し、着陸はせずに特殊なアームを表面に接触させて約60グラムの試料を採取。カプセルに入れて2023年9月に地球に持ち帰る予定という。

オシリス・レックスが撮影したベンヌは、りゅうぐうと似ているそろばん玉のような形状で最大幅は約500メートル。りゅうぐうと同じく地球や火星の軌道の近くを回っている。NASAなどによると、小惑星は46億年前に太陽系をつくった物質が残されている貴重な研究対象で、太陽系の成り立ちを詳しく知る手掛かりになる。ベンヌは1999年に発見され、生命の材料となる有機物が豊富に存在するとみられている。また、ごくわずかな確率ながら22世紀に地球に衝突する可能性があるとされ、オシリス・レックスはベンヌの軌道を関する情報も得られると期待されている。

関連記事

「米探査機が地球公転軌道上の新小惑星を探し活動中」

「米国版はやぶさ、打ち上げ成功 NASA」