シトリックス・システムズ・ジャパンは11月21日、都内でカンファレンス「Synergy Direct Tokyo 2018」を開催した。

同カンファレンスでは「これが未来の働き方~This is how the future works~」と題し、米Citrix Systems アジアパシフィック ジャパン シニアバイスプレジデントのColin Brookes氏らが基調講演を行った。

  • 米Citrix Systems アジアパシフィック ジャパン シニアバイスプレジデントのColin Brookes氏

    米Citrix Systems アジアパシフィック ジャパン シニアバイスプレジデントのColin Brookes氏

まず、はじめにBrookes氏は働き方改革に関する重要なキーワードとして「エクスペリエンス(体験)」「選択肢」「セキュリティ」の3つを挙げた。

同氏は「昨今では柔軟な働き方が求められており、職場環境は変わりつつある。これまでは個別のデスク、パソコン、電話が与えれていたが、オフィスは仕事をするためだけの場所であり、プライベートから切り離された空間だった。現在、多様な場所で業務を行い、さまざまなプラットフォーム、アプリケーションに柔軟にアクセスしたいという要求が高まっている」と指摘。

テクノロージはメインフレームからPC、モバイルと変遷しており、そのような状況下で多くの柔軟性とオポチュニティが生まれたと同時に、管理における課題も生まれ、いつでも、どこからでもアクセスしたいという要求があり、テクノロジーの進化に伴い無限の可能性を秘めている。

一方で、新しい働き方、職場環境、アプリケーションは旧来のものに取って代わるものではないとの認識を示す。顧客は、イノベーションや革新性が生産性の向上につながるという願いはあるものの、リスクと複雑性が混在するため、生産性、ユーザーエクスペリエンスが減少するという。

これは、大手企業においては100単位の個別のアプリケーションを配信し、複数環境のパフォーマンスを管理しなければならないため、メンタル的に負荷がかかり、管理者のアウトプットが減少することから、アプリケーションでユーザーエクスペリエンスが向上すると願う一方で、逆転現象が起きている状況を表している。

また、データ、デバイス、アプリケーションのセキュリティ管理は分散しているため状況のため、複雑性が増すとともにコストを要し、生産性が減少してしまっているという。

  • 多くのアプリケーションを利用すると複雑性が増し、コストを要する

    多くのアプリケーションを利用すると複雑性が増し、コストを要する

このような状況を踏まえ、Brookes氏は「われわれの調査によると、企業は年間800ドル~1000ドルを1人あたりのライセンス料をポイントソリューションに投じている、これは、生産性の向上が見込めないことに資金を投じていることになる。今後、このような傾向は加速し、課題解決には新鮮なアイデアが必要だ」と説く。

そして「われわれは包括的な戦略を提供し、管理を容易にすることを使命としている。統合された一元的なソリューションを提供し、従業員の体験を向上させ、分散された環境に安全性を加え、無駄な投資や管理を取り除くためのソリューションを提供している」と、同氏は強調する。

同社では人とセキュリティを中心として捉え、包括的なワークスペースを提供している。ここで言う包括的なワークスペースとはSaaS、モバイル、データセンター、仮想化されたものを含めた、すべての種類のアプリケーションをセキュアに配信することだという。また、コンテンツもオンプレミス、クラウド問わず、インテリジェントかつ統合された形で配信しなければならないとの認識を示す。

Brrokes氏は「すべてのエンドポイントの一括管理を可能とし、パフォーマンス、管理、セキュリティに関する可視化とコントロールが必要だ。最も重要なのは柔軟で安全な環境を構築することで、クラウドや新しい技術を取り入れることができなければならない。われわれはテクノロジーのメンテナンスに要する時間を減らし、変革に向けてテクノロジーを活用できる時間を確保することを支援していきたいと考えている」と話す。

  • 包括的な戦略で顧客を支援するという

    包括的な戦略で顧客を支援するという

続いて登壇したシトリックス・システムズ・ジャパン 代表取締役社長の青葉雅和氏は「国内では働き方改革法案が6月に可決したが、時短など働かない改革の方向に進んでいるのではないかと感じる。本来、働き方改革はデジタルトランスフォーメーション(DX)により、生産性を向上し、企業の収益性を向上させることだ。働く場所、デバイスなどを活用し、オフィスと同様に業務ができなければ生産性の向上は見込めず、セキュアに使いこなすことが本来の働き方改革である」と、説明する。

  • シトリックス・システムズ・ジャパン 代表取締役社長の青葉雅和氏

    シトリックス・システムズ・ジャパン 代表取締役社長の青葉雅和氏

働き方改革の実現に向けて、ユーザーはPC、スマートフォン、タブレットを用いてアプリケーションを使いたいだけだが、セキュリティへの懸念など、多くの制約が課されている。ユーザーからすれば、どこにいても、どの端末からでもアプリケーションの利用を望んでいる。

そこで、同社はユーザーに対しアプリケーション、デバイス、ネットワークのタイプや利用場所にかかわらず、共通のエクスペリエンスを提供する「Citrix Workspace」を提供している。

  • 「Citrix Workspace」の概要

    「Citrix Workspace」の概要

また「Citrix Analytics」はCitrix Workspaceにおいて、ユーザーがどのようなアプリケーションを利用しているか、どのようなファイルをダウンロードしているのかなどを把握し、セキュリティレベルを高めることができる。

  • 「Citrix Analytics」の概要

    「Citrix Analytics」の概要

さらに、次世代シンクライアントデバイス「Citrix Ready Workspace HUB」は、例えばディスプレイと接続した状態の同端末にスマートフォンを近づけるだけで、自分のデスクトップとして利用を可能としている。

  • 「Citrix Ready Workspace HUB」の概要

    「Citrix Ready Workspace HUB」の概要

最後に青葉氏は「これらの製品・ソリューションの提供を通じて人にフォーカスし、人のセキュリティレベルを高め、オフィスと同じような業務を可能とし、ユーザーの生産性を向上させることに取り組んでいる」と胸を張っていた。