実用性が増したビルダーズ・フェア (Builders Fair)

昨年と同様、AWS re:Invent 2018の展示会場には「ビルダーズ・フェア(Builders Fair)」と呼ばれるコーナーが開設されていた。昨年の様子は「[AWS re:Invent 2017]IoTビールサーバ・サービスの展示から知るAWSの効果的な使い方」を参考にしてもらえればと思う。今年のビルダーズ・フェアは昨年と比べると「実用的」という言葉が似合うものだった。どのサービスもそのまま作り込めば現場で利用できるシステムになると感じられるレベルになっていた。

  • AWS re:Invent 2018 ビルダーズ・フェア

    AWS re:Invent 2018 ビルダーズ・フェア

昨年にビルダーズフェアで展示されていたシステムは、とりあえずAWSのサービスを使ってIoTデバイスからクラウドサービスを使ってみたという内容が多く、ホビー色が強かったと言える。しかし、今回は技術のレベルは昨年とそれほどかわりはないものの、より実用的なシステムとして開発されている点が注目に値するだろう。

  • AWS re:Invent 2018 ビルダーズ・フェアの出展のひとつ

    AWS re:Invent 2018 ビルダーズ・フェアの出展

例えば、以下の写真のマシンは先日発表されたAWS RoboMakerを活用して開発されたロボットで、ROSからAWSサービスをコールすることで各種機能を実装している。写真に掲載されているのはロボットのエンジニアだが、AWS RoboMakerの登場でこうした組み込みデバイスからAWSサービスの利用が簡単になったと説明していた。

  • AWS RoboMakerを使って開発されたロボット

    AWS RoboMakerを使って開発されたロボット

次の写真はAWS Greengrassが使われているマザーボードだ。AWSのサービスを利用する場合は常にネットワークに接続していなければならないと考えるかもしれないが、AWS Greengrassを利用するとAWS Lambdaの機能をオフラインで手元に置いておくことができる。工場などで利用するシステムなどでは、このようにスタンドアローンでも動作できる仕組みが必要だ。

  • AWS Lambdaをオフラインで動作可能にするGreengrassが動作しているマザーボード

    AWS Lambdaをオフラインで動作可能にするGreengrassが動作しているマザーボード

次の写真は、AWSを活用して、工場に配水管の水漏れ検知システムを構築したというデモンストレーションだ。このデモンストレーションもAWS RoboMakerの実用例の1つとなる。

  • 工場における配水管水漏れ検知システムを想定したミニチュア

    工場における配水管水漏れ検知システムを想定した模型

昨年のビルダーズ・フェアはAWSのサービスをどのように使ってIoTデバイスからクラウドサービスを利用するのか模索する方向が目立ったが、今年のビルダーズ・フェアはさらに先に進んで「どんな実用的なシステムが開発できるか」というところに踏み込んでいた。IoTデバイスからクラウドサービスを利用する動きはさらに拡大すると見られており、今後どのようなサービスが登場することになるのかを予測する上で興味深い展示内容と言える。