LIFULLは11月28日、AppierのAI搭載データサイエンスプラットフォーム「AIXON」によるマーケティング施策が、従来に比べて最大330%のコンバージョンレートを実現し、人工知能を活用したデータセグメント、分析、予測の効果を実証したと発表した。
AIXONは、同社独自のデータベース「Cross X AI」から収集した外部データを活用して、AI技術でオーディエンスの予測分析を行う。ユーザーはAIXONを使って特定のオーディエンスデータを出力し、自社のCRMシステムと連携したり、広告配信プラットフォームを通じてマーケティング施策を展開したりすることができる。
今回、LIFULLは不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」のデータを用いたアドソリューションにAIXONを導入した。これまでプライベートDMPを導入していたが、「データ分析・課題抽出」「課題解決のためのセグメント設計」「広告配信設計」を1つのPDCAサイクルとした場合、約7時間の時間を要しているという課題があったという。
LIFULL LIFULL HOME’S事業本部 グループデータ戦略部 データビジネスユニット企画開発グループ グループ長の梁取義宣氏は、「AIXONにデータをインポートするようにしたことで、データ分析から課題抽出までにかかる時間がほぼゼロになり、予測モデル作成と配信設計をするフローに時間をかけられるようになった」と、AIXON導入によるメリットを語った。
LIFULLでは、AIXONが同社の顧客である不動産会社のWebサイトの訪問ユーザーのデータとLIFULL HOME’Sの訪問ユーザーのデータを教師データとして、コンバージョンの可能性が高いユーザーを予測するという仕組みを構築した。
最初のステップとして、AIXONにデータをインポートする際は、トップページから問い合わせ完了までの各階層間で約80の変数をパラメータとして送信する。次のステップでは、AIXONがコンバージョン予測モデルを作成する。予測モデルとしては、「予測ゴール(クライアントサイトのコンバージョン)」「教師データ(LIFULL HOME’Sのコンバージョンユーザー、クライアントサイトのコンバージョンユーザー)」「データソース(LIFULL HOME’Sの訪問ユーザー、クライアントサイトの訪問ユーザー)」を作成したという。
最後のステップでは、広告配信を設計する。これまで人の手でセグメントを作成していたので、広告グループが多くなってしまっていたが、AIXONを導入したことで、広告グループを1、2個に抑えることが可能になったそうだ。加えて、設定にかかる工数も減ったという。
そして、LIFULLは約半年にわたり、LIFULL HOME’Sサイト内への広告出稿やLIFULL HOME’Sのデータを用いて外部DSP/ADNETWORKに広告を出稿する不動産会社のキャンペーンにAIXONで作成したコンバージョン予測モデルと従来のセグメントデータを用いて比較した。
その結果、AIXONによるセグメントデータのコンバージョン率は直近の半年平均では、PCで約150%、スマートフォンで約115%、そして直近の1カ月の実績では、PCで約190%、スマートフォンでは約330%という成果を達成した。
直近1カ月のスマートフォンのコンバージョン率が330%という数字を達成した理由について、梁取氏は「理由は2つある。1つは、クライアントのサイトの特性として、スマートフォンからのアクセスが多かったこと。もう1つは、検索はPCで行い、問い合わせはスマートフォンで行うクロスデバイスを用いたフローにAIXONが適していたこと」と語っていた。
LIFULLは今後の方針として、「データタキソノミのAI活用」「新たな予測モデルの利用と検証」「MAツール『AIQUA』との連携」を検討しているという。