災害対策組織を支援するAWS Disaster Response Program
AWS (Amazon Web Services)では政府組織、教育機関、非営利組織(NPO)、非政府組織(NGO)などを公共部門(パブリック・セクター)として扱い、こうした組織向けにサービスを提供している。
政府組織や教育機関、NPO、NGOでは、利益の追求ではなく広く公共にサービスを提供すること、政府の取り組みではカバーできない特定の目的に特化した活動を行うことなどに取り組んでいる。AWSはこうした取り組みに対してクラウドサービスを提供している。
AWS re:Invent 2018では、Vice President of Worldwide Public SectorのTeresa Carlson氏がAWSの公共部門における取り組みを紹介した。
AWSは、人命が危険にさらされているような現場で働いている多くの非営利団体に対してエッジでのクラウドサービスアクセスを提供する「AWS Disaster Response Program」を提供している。人命に関わる現場で働く人々は活動に必要なITに費やす時間を確保することが難しく、より簡単にサービスを利用できる必要がある。AWS Disaster Response Programはこうした要望に応えるものというわけだ。
具体的には、AWS災害対策活動チームが支援対象である災害が社会に与える影響を評価し、その評価に合わせてエッジからのAWSサービスへのアクセス、重要なデータセットへのアクセス、ボランティアの従業員で構成された技術的専門知識を持つAWS災害対策チームの派遣、ケースバイケースではあるものの最大30日間のクレジットの発行などが行われる。
行方不明の子供たちを見つけるための GMCNgine
また、AWSは行方不明になった子供たちを捜索するためのサービス「GMCNgine」も提供している。GMCNgineはAI、機械学習、AWSの顔認証技術などで構築された検索エンジンだ。WebやダークWebの画像データを検索して行方不明の子供の写真との照合を実施し、捜索に必要になる情報を新たに発見することを可能にする。
GMCNgineで得られた情報は法執行機関や非政府組織に提供され、捜査の資料として使われるという。この取り組みは、行方不明の子供たちが発見されるまで停止されることなく継続するそうだ。
異なる現場で異なる活用を実現できることがクラウドの強み
Carlson氏は公共部門に対するサービスについて、ITを活用する必要があるが十分な時間や予算を確保することが難しいという現場に対して提供すること、大規模データを処理することが困難というケースに対しクラウドのスケーラビリティを生かして提供すること、これら2つのアプローチからサービスを提供していると説明した。
Carlson氏は、「公共部門のAWS活用の内容はいずれも異なっていることが特徴的である」と述べ、同社のクラウドサービスがさまざまな現場でさまざまな用途で役立つことをアピールしていた。