クールジャパン機構は11月28日、クモ糸の遺伝子を元に人工構造タンパク質の新素材を開発・生産する慶應義塾大学(慶應大)発ベンチャー「Spiber(スパイバー)」に対し、本格的な事業化フェーズに移行するにあたっての成長資金約30億円を、リードインベスターとして出資することを決定したことを発表した。
Spiberは2007年に設立されたベンチャーで、人工構造タンパク質由来の繊維素材「QMONOS(クモノス)」を開発するなどの成果を挙げてきた。同社が生産する人工構造タンパク質は、樹脂、フィルム、ゲルなど、さまざまな素材への加工が可能で、かつ化石資源に依存しないため、環境負荷が低いことで注目を集めている。
今回のクールジャパン機構の出資は、Spiberが進める総額50億円の資金調達の一環として行われるもので、これによりSpiberは新素材の本格的な量産化に向け、人工構造タンパク質の発酵・精製プロセスを担う量産プラントをタイに建設する計画で、2019年に着工、2021年からの商業生産開始を予定している。
新プラントは、最大で年間数百トンの人工構造タンパク質の生産が可能となる見通しで、出荷された人工構造タンパク質は、鶴岡本社の紡糸設備にて繊維に加工される計画のため、本社の紡糸設備の拡張・増設についても順次進める予定だという。
なお、Spiberでは今後、アパレル事業などにおけるさまざまな施策・商品展開を計画しており、順次発表される予定だという。