NTTドコモとRohde & Schwarzは11月27日、100GHz超の移動体通信向け超広帯域チャネルサウンダ(以下、同装置)を開発し、5Gの次の世代に向けて高速大容量通信の実現が期待される150GHz帯までの周波数で電波伝搬実験を行い、電波伝搬特性や遮蔽物による影響の測定・解析ができることを確認したと発表した。
100GHz超の移動体通信向け超広帯域チャネルサウンダは電波伝搬特性(電波が伝わる際の伝搬損失、電力遅延プロファイル、角度プロファイルなどを指す)を測定、評価できる装置。100GHzから300GHz帯の周波数帯は5Gで用いる周波数帯域よりも広い帯域幅を確保できるため高速大容量通信の実現が期待されている。
同周波数帯は人体や車両、樹木など構造物の影響によって電波伝搬に影響があるため、電波伝搬特性を明らかにする必要があるものの、簡易な測定手法や小型で超広帯域の測定が可能な装置がなかったという。ドコモでは、同装置を用い、100GHz超のミリ波帯移動通信システムの評価に必要な電波伝搬特性を測定することを可能にした。
実験は、9月3日~11月23日の期間で使用周波帯は0.8GHz、2.2GHz、3.4GHz、4.7GHz、8.5 GHz、27.9GHz、37.1GHz、66.5GHz、97.5GHz、150GHz。30~300GHzのミリ波と呼ばれる周波数帯域は、これまで利用していた周波数帯よりも携帯電話など移動端末周辺の人体や車両、樹木などの構造物の影響を大きく受けまるため、移動端末周辺の人体や車両などによる電波伝搬特性への影響を解明する必要があるという。
同装置は、小型かつミリ波帯を最大2GHzの広い解析帯域幅で解析できるほか、高解像度マルチタッチディスプレイによる利便性の高いユーザーインタフェースを備えており、移動通信システム評価のための電波伝搬特性を簡易に取得を可能としている。
実験では電波暗室において、同装置を用いて150GHz帯までの人体による遮蔽影響の測定・解析ができることを確認した。各社の役割として、ドコモは実験全体の企画・推進、伝搬チャネル測定および、チャネルモデリング、ローデ・シュワルツは製造した測定器を提供した。
今後、解析帯域幅を拡張する予定であり、ミリ波帯伝搬特性の解明と次世代移動通信システムの通信性能評価を行う。これらの伝搬実験を通じて、移動通信システムにおける新たな周波数帯の開拓を進めることで、テラビット(1Tbps=1000Gbps級の通信速度)級移動通信システムの実現など、世界的な次世代の移動通信システムの構築に貢献していく方針だ。