Tableau Japanは11月22日、自然言語処理を用いた新機能として「Ask Data」に加え、自社のエキスパートやデータチームと連携して、2019年以降に注目すべき「BI トレンド Top 10」を予測し、その中で特に日本市場で重要になると考えられるBIトレンドを発表した。

Tableau Japan 社長の佐藤豊氏は「昨今、自然言語が台頭しており、普段遣いの言葉で会話ができることはエンドユーザーコンピューティングでは進んでいるが、エンタープライズITにも適用されていくべきだ。普段遣いの言葉をデータに投げかけることで、わかりやすい答えが示されることが望ましい」と指摘。

  • Tableau Japan 社長の佐藤豊氏

    Tableau Japan 社長の佐藤豊氏

Ask Dataは、サーバ製品「Tableau Server」および「Tableau Online」のダッシュボード上のボックスに例えば「昨日の売上は?」と入力すれば、各種データを組み合わせた形で見える化し、グラフを表示する。

来年に提供を予定しているTableau ServerおよびTableau Onlineの最新版から利用でき、設定の必要はない。すでにβ版は提供しており、ダウンロードすれば利用が可能となり、現状では英語のみに対応(今後、日本語対応を検討)している。

  • ダッシュボード上のボックスに入力すればグラフを表示してくれる

    ダッシュボード上のボックスに入力すればグラフを表示してくれる

佐藤氏は「SQLやPython、R、Exelなどを使用しなくとも、Tableauはドラッグ&ドロップするだけでデータ分析を可能としていたが、Ask Dataは検索ボックスに入力すれば自動的にデータを分析してくれる」と、メリットを語る。

一方、グローバルで公表しているBIトレンド Top 10は以下の通り。

  1. AIには信頼が不可欠
  2. 自然言語でデータがもっとわかりやすく
  3. 業務活用しやすいデータ分析環境
  4. データコラボレーションで拡大する社会貢献
  5. 倫理規定がデータにも適用される
  6. データ管理のモダンBIプラットフォームへの統合
  7. データストーリーテリングが企業の新しい言語に
  8. 企業の分析環境導入がスマートに - データ民主化が加速
  9. さらにスキルアップするデータサイエンティスト
  10. クラウドへのデータ移行とともに加速するモダンBI導入

これらのトレンドを踏まえ、日本においては「AIや自然言語を活用したスマートアナリティクス」「データ民主化を加速するデータドリブンカルチャーの醸成」「データリテラシーとスキル」の3点が重要になるという。

スマートアナリティクスについては、AIは信頼が不可欠なため、提供する結論の根拠をわかりやすく、できるだけシンプルに示す必要があるほか、その結論に続く質問に動的に答えられなければならないため、人間はデータをより深く理解できるようになるという。

また、モダンBIでは人間とシステムの間で交わされるデータについての「分析的会話」を支援するために自然言語が使用されており、会話の流れからユーザーの質問の意図を理解し、さらに会話を進めることができることから、自然な会話によるユーザーエクスペリエンスを可能としている。

自然言語は、人がデータについて質問する方法におけるパラダイムシフトとなり、人間と会話するようにユーザーがビジュアライゼーションを操作できるようになることで、ユーザーが制限を受けるのは分析のスキルセットではなく、各ユーザーの質問の幅だけになるという。

データ民主化を加速するデータドリブンカルチャーの醸成に関しては、I プラットフォームの進化により、いつでもどこでもデータの提供が可能になり、モバイル分析、埋め込み分析、ダッシュボード拡張機能、APIなどの機能が進化するという。

業務の流れに分析環境を組み込むことで、特定の業種や業界に特化した分析環境のカスタマイズを可能とし、データをさらに有効活用できるようになり、分析環境とアクションが統合されることで、インサイトを得てから意思決定に至るまでにかかる時間や作業が軽減されるほか、ビジネスワークフローの中でデータを利用できる範囲が広がるため、多くのユーザーが日々の意思決定にデータを利用するようになり、データドリブンの文化が醸成されるとしている。

そのため、従業員がいかにそのソリューションを使用してビジネスに活用しているかという点が重要なことから、BIの導入によりデータと分析環境が組織全体において意思決定方法の変化につながっているかが焦点となり、多くのユーザーがBIソフトウェアを活用し、価値を引き出すことができ、効率性が高まりとともに、競争優位性を強化できるという。

データリテラシーとスキルについては、デジタルエコノミーにおいてデータリテラシーの向上は企業の大きな課題となっており、データの爆発的増加や組織におけるリテラシースキルの必要性とともに進化していくため、数学や統計のスキルだけでなく、創造性とストーリーテリングが重要なスキルだとの認識を示している。

データからインサイトを引き出した分析手順を組織で広く共有し、理解してもらうためにはインサイトを引き出すためにとった分析手順を、実用的で簡単に理解できる形で伝える能力である「データストーリーテリング」が求められている。

さらに、データサイエンティストには高度な統計および機械学習に関する知識が必要だが、業界に関する深い知識やビジネスに対する戦略的な思考も求められる。

データサイエンティストは分析結果の提供ではなく、分析結果をビジネスに適用する上で中心的な役割を担い、セルフサービス分析ツールにより、データサイエンティストと上級ユーザーの両者がデータを探索して、データに対する理解を深めることで、ビジネスに大きな影響を与えるインサイトを生み出せるようになるという。