NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は11月20日、従来、人間のオペレータが対応してきた電話による問い合わせ業務を、AIに代行させる「コンタクトセンターDXソリューション」を、12月1日より提供すると発表した。
このソリューションは、NTTグループが提供するAI関連技術「corevo (コレボ)」とRPAを組み合わせることで実現。AI技術は、音声認識、AIエンジン、音声合成の3つからなる。
まず、音声認識で顧客用件を確認し、AIエンジンがデータベースの中から最適な回答を検索。音声合成によって回答する。これを繰り返していく。回答に対する追加の問い合わせが可能な点も大きな特徴だ。
RPAはこれら一連の応対内容を記録するとともに、この応対によって必要になった処理を背後で実行する。もし、AIが対応できないイレギュラーなケースが生じた場合は、オペレータに引き継ぐ。
同社では、商品やサービスに関する問い合わせ業務のほか、ECなどでの注文、レストランやホテル、飲食店の予約やキャンセル、空き情報や在庫確認などのインバウンド業務のほか、テレアポ、督促、予約者に対する確認業務などのアウトバウンドでも利用できるとしている。
NTT Comでは、自社サービスの問い合わせ業務で実験したところ、AIのみで完結した件数が1週目は53%であったものが、チューニングを実施していった結果、6週目には91%に向上したという。
また、顧客のECサイトの商品注文業務で実証実験したところ、70件分の処理時間が従来の910分から368分に短縮したという。
「コンタクトセンターDXソリューション」を提供する背景について、同社 ボイス&コミュニケーションサービス部 サービス企画部門 担当課長 小松崇氏は、「コンタクセンターの需要が拡大しているなか、人材不足がある。人材の定着率も低下しており、教育が不足しているオペレータが増加している。そのため、デジタルを活用して、これらの課題を解決する必要があるが、ホスピタリティが重要な業種もあり、適用業務の見極めも必要だ。デジタルICTを適材適所で活用することで、リソースの最適化、顧客満足度の向上が可能になる。『コンタクトセンターDXソリューション』によって、顧客接点のデジタルトランスフォーメーション(DX)化を進めていく」と説明した。
今回のソリューションは、導入コンサルや運用、チューニングなども含め、トータルで提供する。価格は個別見積もりで、月ごとに料金を支払うサービスとして提供する。
小松氏は、「これまでAIは裏方の役割であったが、『コンタクトセンターDXソリューション』では、AIがメインで対応する。後処理の応答記録、システム登録まで一気通貫で提供するのがわれわれのソリューションだ。メリットは、導入コンサルやチューニング、保守にいたるまで提供することや、継続的なAIの精度向上も可能な点、複数のエンジン組み合わせて提供し、RPAエンジンなどを選択可能なモジュールで提供する点だ」と語った。
人員削減効果はユーザーによって異なるが、同社は最低でも20~30%は削減したいとした。