産業技術総合研究所(産総研)は11月16日、11月13日~16日にかけてフランスで開催された「第26回国際度量衡総会」において、「キログラム」、「モル」、「アンペア」、「ケルビン」の4つの基本単位の新たな定義が採択されたことを明らかにした。
これにより、質量の単位であるキログラムの定義は「国際キログラム原器」という器物から、「プランク定数」という物理定数を基にした定義に改定することが決定となり、すべての計量単位が原器という器物から解放されることとなった
キログラムは国際単位系(SI)の中でも特に重要な基本単位の1つでありながらも、器物という物体に依存することで、質量の変化が危惧されてきた。そのために、国際研究プロジェクトとして、新たな定義の実現に向けた取り組みが進められてきたことは既報のとおり。
今回の決定を受けて、産総研の中鉢良治 理事長は「計量標準は、普段意識することはありませんが、あらゆる科学・技術の基礎となる極めて重要なものさしです。産総研 計量標準総合センターの研究者たちの、科学・技術の基盤を支えるという高い志と常に究極の精度を追求するたゆまぬ努力が、定義改定への貢献となって結実したものです」とコメント。理事長、そして1人の技術者として、研究者たちの成果と貢献に対し、心からの敬意を表したいとしている。
なお、これら4つの新たな定義は2019年5月20日の世界計量記念日から適用されることとなるが、普段の一般の生活がなにか変わる、ということはない。また、今後もキログラム原器は、高精度な重さの測定を行なうための分銅として活用されていくとのことで、日本の保有する「日本国キログラム原器」が博物館などに飾られることはかなり先のこととなりそうである。