NTTロジスコとNTTデータは11月16日、スミス・アンド・ネフューの協力のもと、整形外科インプラント等の在庫管理が煩雑な短期貸出領域において、RFIDタグを用いた医療材料トレーサビリティーの実証実験を開始すると発表した。
現在、日本国内においてインプラントなどさまざまな規格が存在する医療材料は、代理店・特約店に直接販売し必要に応じて医療機関に販売する形態と、製造販売業者が代理店・特約店経由で医療機関に医療材料を一時的に預け、手術などでの医療材料利用時に医療機関が買い取る預託販売形態が主流であり、預託販売形態は「長期貸出」と「短期貸出」に分かれている。
長期貸出が医療機関の施設内に預託在庫として預け置くのに対し、短期貸出は手術、手技ごとにサイズや種類が異なる医療材料を販売代理店・特約店がその都度手配・納品した上で、使用した医療材料のみ医療機関に請求し、残りの医療材料を引き上げ、回収までを行っている。
短期貸出のサプライチェーンでは、「廃棄ロス、過剰在庫の削減」「預託在庫数、使用数のリアルタイムな把握」「検品作業の負担削減」などの課題を抱えており、れらの課題解決に向けて、RFIDタグを用いた医療材料トレーサビリティーの実証実験を行うこととした。
実証実験では、医療機器製造販売業者であるスミス・アンド・ネフューの整形外科インプラント製品に3PL事業者であるNTTロジスコが物流センター内でRFIDタグを貼付し、個体識別IDを記録することで、医療材料を取り扱う製造販売業者および代理店・特約店が医療材料の情報を一元的に管理可能なサービスを提供する。
これにより、RFIDタグの有用性と製造販売業者、代理店・特約店、3PL事業者における業務効率化の可能性について、3社の販売代理店・特約店および6つの医療機関の協力を得て、検証を行う。さらに、同プラットフォームとNTTロジスコが提供する共同配送便サービス「メディカルライナー」との連動により、代理店・特約店の効率化をはじめとした効果の検証を実施。
また、NTTデータのデジタル技術を活用し、モバイル端末などによる医療機関での使用実績入力、在庫確認や受発注予測機能を開発し、リアルタイムな在庫状況の見える化、医療機器製造販売業者の生産管理への情報活用と、サービス化に向けたプラットフォーム機能拡張の可能性について検証を行う。
実施期間は実証実験が11月~12月、効果検証が2019年1月~2月を予定。各社の役割として、NTTデータは実証用システム構築、運営、NTTロジスコはRFIDタグ貼付け、運営、スミス・アンド・ネフューは実証用フィールドを提供する。加えて、通信周波数帯域はUHF帯、ICチップはEPCglobal Class1 Generation2準拠、EPC(GS1識別コード)はSGTIN(検証はSGTIN-198で実施)となる。
今後は順次実証フィールドを拡大しつつ、2018年度末をめどにソリューションの有用性を評価し、整形外科、循環器、消化器領域の製造販売業者、代理店・特約店が共同で利用可能なプラットフォームサービスの提供を予定している。これにより、サプライチェーンの上流から下流までの情報が一元管理可能となり、医療材料のトレーサビリティーが実現されることを目指す。