Kofax Japanは11月15日、都内で記者会見を開き、RPA(Robotic Process Automation)製品「Kofax RPA」の新機能を発表した。会見には米Kofax 最高戦略責任者(CSO)のクリス・ハフ氏らが出席した。

同社では、これまでRPA、BPM(Business Process Management)、DCM(Demand Chain Management)、電子署名、CCM(Customer Communications Management)を内包したソフトウェアプラットフォーム「Kofax TotalAgility(KTA)」と、RPA製品「Kofax Kapow」を主力製品として提供していた。今回、KTAのOCR(Optical Character Recognition/Reader:光学的文字認識)機能をKapowに移植し、今後はKofax RPAとして提供する。

ハフ氏は「今回の最新リリースでは、『コグニティブ・ドキュメント・オートメーション(CDA)』『プロセス・ディスカバリー』『ライフサイクル・マネジメント』の機能を提供し、拡大するデジタルワークフォースに向けたボット作成、導入、管理の拡張性に重点を置いている。また、これに合わせてリスクなく本番環境でKofax RPAを活用できるように完全版の12カ月の無償トライアルを提供する」と説明した。

  • 米Kofax 最高戦略責任者(CSO)のクリス・ハフ氏

    米Kofax 最高戦略責任者(CSO)のクリス・ハフ氏

CDAは、さまざまな取引先から異なる書式の請求書が届く経理部門など、業務における記録の認識/読み取りは煩雑な作業となることから、AI技術、OCR、機械学習、および自然言語処理を活用した埋め込み型CDAにより、非構造化文書や画像、およびその内容の処理を自動化するという。

プロセス・ディスカバリーは、業務の手順をユーザーのデスクトップを介した人間とアプリケーションのやりとりを追跡できるようにする機能。PCにおける実行中の手作業のタスクを認識・理解し、RPAにより然るべき順序での自動化を可能としている。

ライフサイクル・マネジメントは、RPAのボットは数多くのプロセスを利用するため、ソフトウェアやWebページの更新によるボットの不具合緩和、ロボットのバージョン管理と導入管理を提供する。

  • 新機能の概要

    新機能の概要

国内におけるマーケットの状況

続いてKofax Japan セールスディレクターの河上勝氏が日本のRPAマーケットについて説明した。同氏は「国内におけるRPAは働き方改革に伴い、簡単かつ低価格という触れ込みで導入が拡大し、ブームが到来したが、ユーザーに過度な期待を抱かせてしまい、現状では失望感が広がっている」との認識を示す。

  • Kofax Japan セールスディレクターの河上勝氏

    Kofax Japan セールスディレクターの河上勝氏

国内のRPAトレンドは、レポート作成やマクロ自動実行と限定的となっている。これはRPAの限界ではなく、ツールの限界であり、導入効果は小さいという。同社はアプリケーション連携とクローニングにより、融資業務や審査・査定業務、部品業務、ERP業務と大きな領域をカバーできるとしている。

  • 日本でのRPA活用は限定的だという

    日本でのRPA活用は限定的だという

今後、2019年からは本格導入が開始され、全面導入企業の増加やRPAツールの棲み分け、正しい理解の普及、適用業務拡大への要求など勝ち組と負け組が現れ、2020年からはバックオフィスのさらなる自動化、コア業務の適用をはじめ他社との差別化での利用が拡大するという。

  • 国内RPAマーケットの概要

    国内RPAマーケットの概要

Kofax RPAの特徴としては「エンタープライズクラスのアーキテクチャ」「ドキュメントを含むオペレーションのロボット化」「日本型ユーザー主導のロボット構築支援」の3点を挙げている。

エンタープライズクラスのアーキテクチャについては、クラウド対応(企業間、グループ間での共同利用)、企業求めるセキュリティレベルの提供、対象外性、スケールアップの対応を可能としている。

ドキュメントを含むオペレーションのロボット化に関しては、定型・非定型を含めたドキュメントのデータ化、基幹系システムへの連携機能の拡充、全自動型ロボットを拡充している。

日本型ユーザー主導のロボット構築支援では、設定だけで完成でき、ユーザー解放とシステム部での管理の両立、スタートアップの充実化、日本語対応を図っている。

  • Kofax RPAが提供する価値

    Kofax RPAが提供する価値

河上氏は「RPAは同じ機能を提供するものでない。車で例えれば軽、トラック、セダンなどがあり、どれがいいかという話ではなく、何をしたいのかということだ。日本の現状は、安くて、簡単で、いつでも使えるRPAを選択してしまうが、それには制限がある。ニーズの違いを捉えて、RPA製品を選定しもらえればと考えている」と述べていた。

将来的なKofaxの展望

ハフ氏は将来的なKofaxの展望についても説明した。まず、同氏は現状認識として「第1次~第3次産業革命が重点を置いたのはワークプレイス(働く場所)の改善だったが、第4次産業革命ではワークフォースが中心となる」と、強調する。

そのような現状を踏まえ、世界経済フォーラムはRPAなどの自動化ソリューションにより、2022年までに5800万件の準新規雇用が創出されると発表し、デロイトトーマツは2024年までにRPAが世界中で導入されると主張している。しかし、2018年にRPAの拡張が可能な企業は前年比1ポイント増の4%ととどまっているという。

そこで、同社では「Kofax IA(インテリジェント・オートメーション)」を提唱している。これは「コグニティブキャプチャ」「ロボットによる業務自動化」「オーケストレーション」「データ分析」「コミュニケーション」「デジタル署名」の6つのスマートオートメーション機能を統合したプラットフォームとなる。

コグニティブキャプチャは、非構造化データに関する機械学習を統合し、あらゆる文書を取り込み、ロボットによる業務自動化ではウェブサイトやアプリケーション、ポータルからデータを取得し、反復する手作業のタスクを自動化。オーケストレーションはルーチンのワークフロー、例外事項の処理および事例管理、プロセスの自動化、データ分析は業務プロセスの管理/実施の分析し、ITとビジネスを接続する。

コミュニケーションはマルチチャネルのデジタルおよび紙媒体の通信をバッチ、オンデマンド、またはインタラクティブモードで生成し、デジタル署名はバイオメトリクス、写真または手書き署名を使用した署名の取り込みを行う。

  • 「Kofax IA」の概要

    「Kofax IA」の概要

同氏はKofax IAについて「デジタルワークフォース管理に特化したプラットフォームだ。オープンかつ拡張可能であり、RPAの構築と管理を行う。また、企業のIT部門と業務部門を接続することで、システム更新/公開に合わせてRPAボットも更新される。さらに、AIへの対応として、あらゆるサードパーティAIソリューションに解放する」と、説く。

また、企業におけるCRMやBI、セキュリティ、プロセスマイニング、クラウド、音声アシスタント、チャットボット、AIをはじめ多様なデジタルプラットフォームを統合する結合組織体の役割を果たすという。

今後、同社では2019年第2四半期にIAプラットフォームの初回リリース、AIコネクタのエコシステム、同第3四半期にはコンテナ化も含めたIAプラットフォームのクラウド対応、自然言語処理の強化、同第4四半期にフルデジタルワークフォース管理のリリースと音声対応、従量課金モデルでの提供を、それぞれ予定している。

  • 今後の計画

    今後の計画