ON Semiconductorの日本法人であるオン・セミコンダクターは11月14日~16日にかけて神奈川県・パシフィコ横浜にて開催されている最先端の組込技術、IoT技術にフォーカスした総合技術展「ET&IoT Technology 2018」にて、自社デバイスを搭載したIoT開発キットの紹介や、どうやって得たデータをクラウドに接続させるのか、といったことまで踏まえたソリューションのデモの紹介などを行なっている。
半導体ベンダである同社が、IoT向け半導体を提供するのは極当たり前の話であるが、同社では、そこからさらに一歩踏み込んで、クラウドにつながるところまでをソリューションとして提供している。同社ブースでも、それを意識したデモとして、IoT開発キット(IDK)のデータとIBM cloudを連動させるといったことが行なわれている。
IDKは、Arm mbed OSを実行する32ビットArm Cortex-M3コアを搭載したSoC「NCS36510」を基本とするベースボードと、アプリケーションツール、オプションの各種センサカードなどで構成されており、用途に応じた組み合わせを構築することが可能なキット。今回のデモでは、アクチュエータ、LEDコントローラ、照度、湿度、温度、気圧といった各種のセンサなどをスマートフォン上のアプリからBluetooth LEでコントロール。しかも、その情報などは、IBM cloudとリアルタイムで連携し、ダッシュボードに現在の値を表示することまでも可能としたものとなっている。
また、同じくIDKを用いた別のデモとして、さくらインターネットが提供する電子回路をデータセンターに直結するIoTプラットフォーム「sakura.jo」と接続し、sakura.ioで提供するクラウド環境に一旦データを格納。そこからIBM cloudへとデータを送信し、ダッシュボードに結果を表示する、といったものも見ることができる。
このほか、同社は11月14日付けで超低電力が特徴のRSL10 SIPをベースとして、環境発電で通信が可能なBluetooth Low Energy(BLE)スイッチのリファレンスデザインを発表。ブースでもデモを行なっている。
これは、物理的なスイッチをオンにする際に発生する微弱な電力でRSL10 SIPを駆動させることで、バッテリレスでデータの送信を可能にしよう、というもの。デモとしては、1回ボタンを押すと約330μWの電力が発生。RSL10からは、4~5個のアドバタイジングパケットが送信できるエネルギー量であり、これによりLEDの点灯/消灯を行おう、というものとなっている。
ちなみにBLEスイッチのリファレンスデザインによるデモの隣では、RF/NFC機能を搭載したEEPROM「N24RFシリーズ」の紹介も行なわれている。
これは、RFインタフェースを搭載したEEPROMで、非接触でデータの転送が可能となることから、生産現場での活用を期待したものだという。例えばメンテナンスの記録やその工程での作業ステータスなどを入れておくことで、スマホを近づけるだけで、バッテリーレスでそうした情報を読み出すことが可能となるため、生産管理のスマート化などが可能になるといった具合だという。容量としても、4Kビット/16Kビット/64Kビットの3製品がラインアップされており、さまざまな用途に応じることができるという。