日本電気(NEC)と医療法人社団KNIは6日、患者の入院長期化の回避による早期の社会復帰と、対応する病院スタッフの業務負荷軽減、医療サービスの質向上に向け、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」を活用した実証を行ったことを発表した。

  • 「誤嚥性肺炎のハイリスク患者の早期抽出」実証の画面イメージ

    「誤嚥性肺炎のハイリスク患者の早期抽出」実証の画面イメージ

この実証では、「誤嚥性肺炎のハイリスク患者の早期抽出」と「発話情報の分類・構造化技術による看護記録の質の向上と効率化の両立」で、それぞれの効果を確認した。

「誤嚥性肺炎のハイリスク患者の早期抽出」については、NECのAI技術「異種混合学習」の適用により、入院3日目までの電子カルテデータから誤嚥性肺炎のハイリスク患者を87%の精度で抽出。これにより、看護師による該当患者への重点的な予防介入が可能となり、業務負荷を高めずに発症数を低減することができるとともに、患者の入院長期化の回避、対応するスタッフの業務負荷軽減が期待できるとしている。

  • 「発話情報の分類・構造化技術」実証の画面イメージ

    「発話情報の分類・構造化技術」実証の画面イメージ

一方、「発話情報の分類・構造化技術による看護記録の質の向上と効率化の両立」については、NECのAI「テキスト含意認識」を用いて情報を自動的に分類・構造化する技術を開発し、看護師の発話をヒアラブルデバイスによるハンズフリー入力でデータ化した情報(発話情報)に適用した。実証実験では、通常1日1人あたり約1時間かかっていた記録業務を58%削減できたという。また、従来は約30分かけて実施していた対面での引継ぎ業務が不要となり、業務時間の短縮に寄与するだけでなく整理された情報のリアルタイムな共有によりインシデント回避も期待できるとしている。

なお、KNIとNECは昨年10月より、AIを活用した医療・社会改革に向けた共創を開始している。両社は、KNIが目指す「医療をツールとした社会改革」のために掲げている、予防や地域医療まで包括する「デジタルリビングウィル」、「トータルライフサポートサービス」、AIを活用して医療の質向上と業務効率化を目指す「デジタルホスピタル」の実現に向けて取り組みを進めている。今回の実証は、これらのうち「デジタルホスピタル」の実現に向けた取り組みのひとつだということだ。