日本電気(NEC)は5日、個人情報や企業の保有する機密情報を暗号化したまま安全に分析・処理できる秘密計算を組み込んだ、システム開発を容易にする支援ツールを開発したことを発表した。

今回、同社が開発したのは、プログラミングの知識があるエンジニアであれば容易に活用でき、データの処理内容を記述すれば秘密計算に必要な処理コードを生成し、実行できる開発支援ツール。

従来、秘密計算の処理コードを生成するには専門家の膨大な工数を要していたが、この開発支援ツールでは、秘密計算の処理記述・実行エンジンであるSPDZ-2を拡張することで、秘密計算で実行したい処理内容をPythonに似たプログラミング言語を記述するだけで、NECの秘密計算特有の処理コードを自動で生成することが可能となる。

例えば、単純な集計処理であれば、約30行のプログラム記述から、約4万行の処理コードを自動で生成する。また、秘密計算の様々な統計処理の記述にも対応しているため、あらかじめ決められた一般的な集計処理や分析処理に限定せず、各企業や研究機関などの利用者が望むシステムに合わせた統計処理や分析処理も容易に記述することが可能だという。

これにより、例えばこれまで専門家が1週間かかっていたプログラム開発が、一般エンジニアであっても数時間の工数で可能となり、企業などのニーズやシステムに合わせた秘密計算の組み込みが可能となる。

また、処理内容の記述から、並列実行可能な処理を自動的に判別し、同時に処理実行する最適化機能を備え、専門知識がなくとも記述した処理内容が高速に実行できる秘密計算の処理コードを生成できるということだ。

同社は、この支援ツールの開発により、医療分野や金融機関、マーケティング分析など、さまざまな組織間での安全なデータ活用を行うデータ流通基盤などの構築が容易になるとしている。