あいおいニッセイ同和損害保険は、RPAの活用やDynamics365によるデータのデジタル化により、2021年度に約138万時間の余力を創出するとともに、現在年間約1,200トン使用しているコピー用紙等の大幅削減を目指すと発表した。
この取り組みは、同社の中期計画、AD Vision2021の中の「デジタル革命に向けたデジタライゼーションの推進」の一環として行うもの。プロジェクトは今月から開始する。
業務改革プロジェクトでは、単に人の業務をRPAに置き換えるだけでなく、BPR(Business Process Re-engineering:抜本的な業務の見直し)を実施し、業務効率化を目指す。
実際にデジタル化するのは、経理と人事の業務。これらの業務では従来、課題として、紙ベースの処理が多い、申請承認の形態が多岐にわたっている、現場と本社で2重入力作業が発生している、データがさまざまな場所に散財しているという課題があったという。これらをRPAとDynamics365の導入で解決する。
そのために、20名程度のプロジェクトチームを設け、現場任せにするのではなく、プロジェクトチーム主導でデジタル化を推進する。実際のRPAのロボット作成も、現場に派遣する外部SEに依頼するという。
あいおいニッセイ同和損保 代表取締役 副社長執行役員の黒田正実氏は、「RPA化を現場に任せると、現状のまま、やり易い業務からRPA化してしまう。現状の業務をそのままRPAに置き換えるのでは、やる意味がない。無駄な業務をなくすといった、抜本的な業務の見直しを含めて行う。そして、人がやることをすべてAIやロボットにやってもらい、浮いた人材によってこれまで提供できなかった付加価値を提供していく」と語った。
具体的には、創出した時間を顧客接点のあるフロント業務に当てていくという。
138万時間削減達成の見通しについて同氏は、「弊社はデジタル化で大きく遅れている。そのため、最初の取り組みで大きな効果が期待できる」と自信を見せた。
今回のプロジェクトには、アビームコンサルティング、シーイーシー、日本マイクロソフト、UiPathが支援する。
アビームコンサルティングは、BPRを前提としたRPA導入の全面支援、シーイーシーは、Dynamics 365のアドオンテンプレートを提供および新規アドオンテンプレート開発、日本マイクロソフトはDynamics 365の提供およびテクノロジー支援、UiPathは、RPAソフトウェア「UiPath」および活用ノウハウの提供、標準機能の拡充を行うという。
将来は、RPA・Dynamics365に加えて、OCRやAIの導入・活用も推進。社外から受け取る紙をOCRによってデータ化することでDynamics365 やRPAの活用範囲をさらに拡大させるとともに、AIの活用による業務の高度化やチャットボットとの連携により、更なる効率化に取り組むという。