Zertoは11月1日、記者説明会を開催し、同社の主力製品の最新版「Zerto Virtual Replication 6.5」の新機能と開発ロードマップを紹介した。「Zerto Virtual Replication」は、データを保護する機能として、バックアップとディザスタリカバリを一元プラットフォームで提供する。
説明は米Zertoの製品担当シニアバイスプレジデントを務めるロブ・ストレッチ氏が行った。
同社がミッションとして掲げているのが「顧客のITレジリエンス(Resilience)の確保」だ。レジリエンスとは回復力という意味だが、災害、サイバー攻撃、買収、クラウドへの移行など、さまざまな変化に遭遇しても、業務の継続を実現するソリューションを同社は提供することを目指している。
ストレッチ氏は同社が提供する主要な機能として「継続的な可用性」「ワークロードのモビリティ」「マルチクラウドのアジリティ」を挙げた。同氏は、「継続的な可用性」に関する事例として、システムがランサムウェアに感染して暗号化されてしまった企業を紹介した。
この会社は身代金を支払う代わりに、同社の製品を導入することで、8時間でディザスタリカバリ用のサイトを構築し、事業を再開することができ、さらに本番環境も復旧したという。「他の製品だったら、数日かかっていた作業だった」と、ストレッチ氏は語る。
上記の3つの機能を提供するため、「IT Resilience Platform」を中核プラットフォームとして「バックアップ」「ディザスタリカバリ・レプリケーション」「ハイブリッドクラウド向け保護機能」を提供する。
ストレッチ氏は、「従来のデータ保護製品は、バックアップ、レプリケーション、オーケストレーション、マイグレーションと機能ごとに製品が提供されており、これらすべてを導入していると、コストもかかるうえ、システムも複雑になる。われわれの製品は単独のプラットフォームでこれらの機能をすべて提供する」と、同社の製品のアドバンテージを示した。
同社は今年2月に「Zerto Virtual Replication 6.0」をリリースした。同バージョンの特徴は、マルチクラウドおよびハイブリッドクラウド向けの機能が追加された点だ。Microsoft Azure、Amazon Web Service(AWS)、IBM Cloudに対応しており、日本では、VMwareベースのクラウドサービスを提供しているIIJやCTCのサービスにも対応している。
「Zerto Virtual Replication for マイクロソフト Hyper-V」はHyper-VとVMwareにおいてレプリケーションが可能であり、「Amazon AWS Disaster-Recovery (DR), Replication & Backup」はVMwareおよびHyper-V環境とAWSにおいてレプリケーションが行える。マルチクラウド環境でデータの移動と保護を実現する。
今年9月には、最新版「Zerto Virtual Replication 6.5」がリリースされた。ストレッチ氏は同製品の特徴として「クラウド移行を支援」「基盤となる機能の整備」「深い分析」「プラットフォームの拡張」を挙げた。
クラウド向けの機能としては、「マネージドサービス・プロバイダー向けのコントロールパネルの提供」「クラウドサービスプロバイダーの顧客の分析提供」「Microsoft Azureのマネージド ディスクへの対応」「RTO/RPOの改善」などがある。
基盤となる機能としては「バックアップサービスのスケールアウトの統合」「書き込みの増分バックアップのサポート」「LVMにおけるJFLRの対応」が行われている。
分析機能としては「90日間の履歴の保存」「SwaggerのAPIの対応」「クラウドサービスプロバイダー向けの組織フィルタの対応」が行われている。
プラットフォームの拡張としては、「シングルのVMのリカバリの対応」「REST APIへの対応」がある。ストレッチ氏によると、仮想環境を復旧する際、あるVMだけ元に戻したいというニーズがあるそうだ。
そして、2019年第1四半期には「Zerto Virtual Replication 7.0」がリリースされる予定だ。同製品では「継続的なジャーナルベースの保護の実現」「インテリジェントかつインデックスを活用した検索の追加」「データ保護のワークフローの追加」「アーキテクチャの拡張」「ターゲットとなるレポジトリのサポート」などが計画されている。
これらの機能拡張のうち、ストレッチ氏は「継続的なジャーナルベースの保護の実現」について詳しく説明した。長期的なデータ保護を実現するため、月単位、年単位でのリカバリを実現することを目指す。
「データ保護」は歴史が長い技術だけに製品の数が多く、複数の製品を導入してその運用に手間をとられている企業も多いだろう。そうした企業にとって、単一のプラットフォームでデータ保護に必要な機能を一括して提供する同社の製品は導入の検討に値するかもしれない。