米Semiconductor Industry Association(SIA)が、世界半導体市場統計(World Semiconductor Trade Statistics:WSTS)の集計データを基に発表した2018年9月および同第3四半期(7~9月)の半導体市場規模は、それぞれ409億ドル、ならびに1227億ドルで、ともに前年同期比13.8%増となり、月次、四半期ともに史上最高を更新した。
SIAのプレジデント兼CEOであるJohn Neuffer氏は、「今年のグローバルな半導体業界の年間販売額は、2017年に記録した史上最高額である4120億ドルを大きく上回り、記録を更新することが確実になった。ここ数か月にわたり前年比の伸びは次第に少なくなっているが、9月も単月で史上最高の月次販売高を示しており、すべての主要製品カテゴリおよびすべて地域市場にわたって販売額が増加。とりわけ、米国市場および中国市場における販売額が引きつづき顕著である」と述べている。
Neuffer氏のコメントを統計な数字で検証すると、9月の市場規模ば、中国市場が同26.3%増、米国が同15.1%増とともに2桁成長を遂げ、欧州も同8.8%増、日本も同7.2%増、アジア太平洋も同2.4%増とプラス成長を達成。一方、前月比では、米国が同6.0%増、中国が同1.8%増、欧州が1.3%増となったものの、日本が同0.6%減、アジア太平洋が同0.1%減となった。
なお、SIA発表の月次販売額は、3か月移動平均値であり、販売地域とは、半導体企業から商社や大口顧客に直接販売された地域を示し、必ずしもさまざまなルートを経由して最終の消費者に渡った地域ではない。
半導体業界に漂う先行き不透明感
世界市場における半導体の販売高(月次)は26か月連続で前年同月比プラス成長を続けており、その間いままでにないような急成長を遂げている。さらに、長期間にわたるメモリバブルのおかげで、2018年6月までは15か月間連続で前年同月比でも20%以上の成長を遂げたが、この歴史的記録は7月で途切れた。6月は同20.5%増とかろうじて20%以上を維持したものの、7月は同17.4%増、8月は同14.9%増、9月は同13.8%増と2桁成長は維持しつつも成長率は下がってきている。
メモリバブルの崩壊によってメモリ価格の下落が進みつつあるが、そのためにHDDからSSDへの移行が進んでいるほか、新型スマートフォンに搭載されるDRAMおよびNANDの容量も増えており、メモリ価格は下落するも全体の売上高は増加するといった現象が生じている。しかし、今以上にメモリ価格が下落すれば、やはり売り上げの低下は避けられないだろう。また、米中経済摩擦の影響もこれから今まで以上に出てくる可能性があり、半導体産業の先行きは不透明感が漂ってきている。