MathWorks(マスワークス)は、MATLABおよびSimulinkの最新バージョン「Release 2018b(R2018b)」において、ディープラーニング機能の拡張を行ったことを発表した。
具体的には、これまで「Neural Network Toolbox」という名称で提供してきたToolboxへの機能拡張を実施。それに併せて「Deep Learning Toolbox」へと名称が変更された。同Toolboxは、ディープニューラルネットワークの設計と実装のためのフレームワークで、画像データだけでなく、時系列データ、信号データ、テキストデータで利用することが可能なため、画像処理、コンピュータビジョン、信号処理、ロボティクス、自動運転といった幅広いアプリケーションで活用することができるようになったという。
また、Caffe2やTensorFlowなどのディープラーニング用のフレームワークで作成されたディープラーニングモデルをMATLABへインポート、もしくはエクスポートを可能とする「ONNX converter」を用意。主だったフレームワークはインポートもエクスポートも対応しているが、2018年10月末時点ではChainerおよびPyTorchはインポートのみ、MXNetはエクスポートのみに対応している。
さらに、新たに開発のステップと時間の短縮を可能とするアプリケーションも搭載された。主なアプリケーションとしては、「Deep Network Designer」が用意されており、これを使うことで、Simulinkのブロックのようにニューラルネットワークのアーキテクチャをスクラッチで作成し、可視化したり、既存の学習済みネットワークを取り込んで可視化するといったことが可能になるほか、レイヤの差し替えもドラッグアンドドロップで簡単に実行することが可能となる。
加えて、可視化だけでなく、ネットワークが正常に機能するかどうかの評価を可能とするネットワークアナライザ機能も搭載。これにより、不具合の場所や正常にネットワークが機能するか、といった診断を行なうことも可能となった。
NVIDIAとの連携を強化
こうしたさまざまな機能拡充が実施されたDeep Learning Toolboxだが、その最大の特徴は、NVIDIAのGPUとの連携性の強化にある。
中でも、NVIDIA GPU Cloud(NGC)のサポートにより、NVIDIAの提供するGPU対応ディープラーニングコンテナレジストリにさまざまなToolboxを含んだR2018bが追加された。ローカルのPCやワークステーションでの活用のほか、2018年10月末時点でAmazon EC2 P3およびNVIDIA DGXに対応している模様。利用には、マスワークスのアカウントを有している必要がある。
なお、マスワークスでは、今回のNGCならびにDGXのサポートにより、ユーザーのディープラーニングの活用に向けた取り組みを加速できるようになるとコメントしており、今後もこうした連携を進めていくことで、マスワークスのソリューションとして、デスクトップPCからワークステーション、クラウドと選択してもらえる幅広いディープラーニング環境を求めるユーザーニーズに対応していきたいとしている。