Cogent Labs(以下、コージェントラボ)は10月30日、University College London(以下、UCL)とパートナーシップ契約を締結し、次世代AIの開発を目指す長期共同研究を開始することを発表した。
人間の脳は、脳の中で様々なモジュールを組み合わせることで、複雑な問題を簡単な作業へ分解し、処理している。現在のニューラルネットワークにはそのような能力がないため、異なるタスクに対して異なるAIと学習が必要となっている。
この共同研究では、人間の脳のように複雑な問題に対して様々なモジュールを組み合わせて対応するモジュラーAIの構築を目指し、最初の成果は2019年上半期に発表する予定だという。
この研究で開発を目指す次世代AIでは、ひとつのニューラル・アーキテクチャの目的を簡単に変更し、異なる問題を解決することに利用できる。例えば、自動走行車では歩行者の検知後のアクションは車が歩行者を回避するように、AIでは認知を行い、その後に異なるアクションが求められるタスクは多くある。これらをひとつのAIで処理することを可能にする研究を行うとのことだ。
また、新たな取り組みとして、学術機関と企業が双方の研究者を交えて長期的な共同研究を行うことによって継続的に成果を出し続け、実運用につながるAI開発を進めるとしている。
最先端AIの専門性と国際的な学術機関とのつながりを持つUCLにとって、研究だけではなく機械学習エンジニアリングの分野で、すでに解決力を持つサービスを提供しているコージェントラボとのパートナーシップ締結は、研究の実社会への還元を目指すものだという。
コージェントラボは、現在までの事業展開から得た知見やデータ群を、現実世界の課題解決に取り組む研究者に積極的に提供し、共同研究を行うことで、さらに実社会に役立つサービスを生み出すとしている。
なお、コージェントラボとUCLの共同研究は、「UCL Centre for Artificial Intelligence」を拠点として実施される。設立は2019年初旬に予定され、デイヴィッド・バーバー教授をリーダーとして、コンピューターサイエンスにおけるAI研究がUCL内で初めて一堂に会する場となる。このAIセンターは150名超のAI研究者で構成され、新たな技術の創出のほか、科学、産業、および社会への応用と影響に関するアドバイスの提供を目指すということだ。