楽天と西友は10月25日、両社が協働運営するネットスーパー事業「楽天西友ネットスーパー」をグランドオープンしたと発表した。
楽天西友ネットスーパーは楽天が有する楽天ID約9900万の会員基盤やECの知見と、西友の実店舗で培ってきた生鮮食品の販売をはじめとしたスーパーマーケット運営のノウハウなど、両社の強みを活用しつつ協働運営するネットスーパー事業。
新サービスは、楽天と西友の親会社である米ウォルマートが1月に発表した戦略的提携の一環となり、4月に新会社として楽天西友ネットスーパーと楽天西友スーパーマーケティングを設立、8月には既存のネットスーパーの利用者にソフトローンチ、新たなサイトを立ち上げた。
西友 執行役員 シニア・バイス・プレジデントの竹田珠恵氏は「過去5年間で共働き世代が100万世帯増加し、昨今のライフスタイル変化による家事の時短ニーズが高まっている。日常の買い物についてはネットで注文し、都合のよい時間に受け取るネットスーパーの需要が拡大していること加え、半調理品などの新たなニーズを生み出し、そのような市場環境下において西友のネットスーパーは毎年2桁以上の伸び率で事業を拡大してきた」と、強調。
特に利便性の観点から「育児で時間がとれない」「重いものを持つことが大変」と感じるユーザーに評価されており、30~40代の育児中の年齢層が利用し、飲料、米、冷凍食品、紙製品、乳飲料、ほかのネットでは取り扱いのない生鮮食品などを購入しているという。
楽天 執行役員 コマースカンパニー ファーストパーティ事業 ヴァイスプレジデントの小森紀昭氏は経済産業省の調査結果を引き合いに出し「2017年の食品、飲料、酒類のEC化率は2.4%と全体の5.8%と比べても非常に低く、今後は大きな成長が期待できるため、両社で高まるユーザーニーズに対応すべく、ネットスーパー事業を協働で行う」と述べた。
新サービスの特徴は「豊富な品揃え」「消費者ニーズに対応した配送キャパシティ」「楽天IDとの連携」の3点を挙げている。
品揃えに関しては西友が得意とする低価格と質の両方を実現した生鮮食品をはじめとした食品や日用品を提供するほか、時短ニーズに対応したカット野菜や半調理食品、ミールキットなどの簡便商品、楽天市場で人気のお取り寄せグルメ、農業サービス「Rakuten Ragri(ラグリ)」の有機野菜や有機野菜サラダなど最大2万品目を取り揃える。
ミールキットについては育児中のママ・パパを対象とした会員プログラム「楽天ママ割」との共同開発商品も展開する。
配送キャパシティに関しては、西友の実店舗からユーザー宅への配送に加え、千葉県柏市のネットスーパー専用センターから都内数カ所に設置した配送拠点を経て自宅に配送する。
これまで、西友の店舗から当日配送ができるにもかかわらずニーズの高まりにより、注文できるのは2日後になっており、店舗ではさばききれない注文数になっていたという。
そのため、キャパシティを拡大した専用センターには冷蔵・冷凍庫を完備し、常温・冷蔵・冷凍の3温度帯で商品を保管。センターを中心に各配送拠点を活用することで受注可能件数を最大化し、配送能力を1.5倍に拡大しており、ユーザーの希望時間に新鮮な生鮮食品などの商品を配送することを可能としている。
楽天IDとの連携では、IDを持つユーザーは登録済みの住所やクレジットカード情報などを利用してスムーズに買い物し、楽天スーパーポイントを貯めたり、使ったりすることができる。
展開エリアは16都道府県(一部配送できないエリアあり)、配送料は一定額以上の注文で無料(それ以外は432円)、会費は入会費・年会費ともに無料、受付時間は年中無休24時間(システムメンテナンス時を除く)。
宅配時間は注文した日から3日後までの午前10時~午後10時までの6つの時間帯で指定配達を可能とし、注文から最短4時間で受け取り、午後3時までに注文すれば当日配達が可能。決済はクレジットカード、代金引換(手数料税込324円)、電子マネー(楽天キャッシュ)、楽天スーパーポイントから選択し、購入金額100円につき、楽天スーパーポイントを1ポイント進呈、ウォルマートカードでの支払いの場合、2%の優待割引(酒などの一部商品は除く)となる。
実際に利用しているというママタレントとして活躍する辻希美さんは「最初は生鮮食品の品質やアイスが溶けないかと心配しましたが、問題なくて感動しました。これからはアプリがあればもっと使いやすくなるかもしれません」と、注文を加えていた。
今後、両社ではサービスエリアの拡大、商品ラインアップの拡充、テクノロジーを活用したより良いお買い物体験の提供を目指す考えだ。