Yole Développementは、電源監視・制御や電源管理のためのパワーIC市場は2018年から2023年までの5年間に年平均成長率4.6%で拡大し、2023年には227億ドルに達するとの市場予測を明らかにした。
同社が述べているパワーICには、電源管理IC、バッテリ管理IC、スイッチングレギュレータ、リニアレギュレータなど電源関連ICが含まていれる。
日本勢としてルネサスが9位にランクイン
2017年のパワーIC市場の売上高ランキング・トップ5は、以下のとおり。
- Texas instruments(TI)
- Qualcomm
- Analog Devices(ADI)
- Maxim Integrated
- Infineon Technologies
ADIは、パワーICのリーダー的存在だったLinear Technologyを買収し、ポートフォリオを拡大しトップを目指している。また、業界8位のDialog Semiconductorは電源管理ICビジネスの大部分を占めるApple向け事業部門を特許および300名のエンジニアとともにAppleに売却することに同意した。11年前のiPhone発売以来, Dialogは、Appleに電源管理ICを供給してきたが、Appleは、電源管理技術を戦略的に社内に取り込むため、Dialogとの取引を削減あるいは中止の方向で検討していた。Dialogにとっては苦渋の決断だったろう。これによりDialogの売り上げの75%を占めていたApple向け売り上げは、半減する見込みで、M&Aも視野に入れ新分野を模索中である。日本勢ではルネサス エレクトロニクスが、Intersilを買収しポートフォリオを拡大して9位につけている。
パワーIC市場をけん引する自動車分野
自動車のステアリング、ブレーキ、アンチロールの安定化は、伝統的に油圧で制御していたが、電気制御に替わりつつある。高効率で電圧を調整するための電源管理ICの実装のおかげである。多目的カメラ、レーダーシステムおよびエアバッグなども電源管理ICで制御されている。
電気エネルギーは、エネルギーの変換効率が高く、石油産業への依存度を下げ、CO2排出量を削減できることから、電気自動車や自動運転車への注目、ひいては電源管理ICが注目されるようになっている。
現在、電気自動車とハイブリッド電気自動車(EV/HEV)は、世界の自動車販売台数の4%を占め、そのシェアは2023年には16%に増加すると予想されている。さらに、大手自動車メーカーはすでに電源電圧を12Vから48Vへ昇圧し、ステアリング、ブレーキ、アンチロールの安定化などのさまざまな機能の油圧システムを電気システムへの移行を進めており、それに併せて車載向け電力管理ICの販売量も増加している。
自動車メーカーは、さまざまなセンサとともに運転支援システム(ADAS)を自動走行への進化と、さらなる快適性の向上に向けて搭載車種や機能の拡充を進めている。それに伴いセンサの販売数量は今後5年間で年平均約8%で増加すると予想されるほか、車載パワーICも年平均8.9%と、パワーIC全体の成長率(4.6%)よりも高い伸びを示すことが予測されている。中でも、牽引役となるのは、パワートレイン向けとADAS向けになるとYoleでは予測している。